食事の後に、急にみみず腫れのような非常にかゆい発疹が現れたり、かぜ薬の服用で全身がかゆくなったという経験をした人も多いのではないでしょうか?今回は、このじんま疹についてお話しします。
じんま疹は大変ポピュラーな病気ですが、なぜか若い人に多く、60歳以上での発症は少ない傾向があります。原因は、食べ物、薬物、汗、花粉、ペットの毛などの外因や寒冷、日光、金属などの肌への直接刺激によるものとさまざまです。また、最近はストレスからの心因性じんま疹も多くみられます。
さて、急性じんま疹は、全身の皮膚や粘膜に現れ、数日から一週間ぐらいで治りますが、慢性の場合は、症状は軽いながらも数カ月から数年にわたって発病を繰り返し、毎日体のどこかにできたり、ある時間だけできる、体のごく一部だけにできるという状態が続きます。
症状としては、急性、慢性ともに、かゆみを伴う膨疹で、形や大きさはいろいろです。円状、環状、みみず腫れ、地図様で時間とともに大きくなったり形が変わったりします。お腹や太もも、腕によくできますが、まれに頭や手足、唇などにも発症します。
治療法は、原因がアレルギー性のもので特定できれば、それを遠ざけることが第一ですが、慢性の場合は、ほとんど原因が分かっていませんので、やはり対症療法になります。ぬり薬はあまり効果がないので、抗ヒスタミン剤や抗アレルギー剤の内服や注射が中心ですが、重症の時にはステロイドホルモン剤となります。しかし完治は難しく再発がほとんどです。
漢方では、一人ひとりの体質を考えてお薬を決めますが、一般的にじんま疹は水毒体質と見なして、水分代謝を促進する漢方を選びます。それでは漢方薬をご紹介します。
十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)…赤く隆起したかゆみの強いじんましんに。急性、慢性両方に最もよく用いられる。
小柴胡湯(しょうさいことう)…過敏体質で慢性化したじんま疹の体質改善。
香蘇散(こうそさん)…胃腸虚弱の人で、特に魚を食べて起こった時に。
消風散(しょうふうさん)…持続的で強いかゆみに。特に夜間にひどくなるじんま疹に。
当帰四逆加呉茱萸生姜湯(とうきしぎゃくかごしゅゆしょうきょうとう)…冷たい風や冷水などによる寒冷じんま疹に。
桂枝麻黄各半湯(けいしまおうかくはんとう)…急性じんま疹でかゆみが強く発熱を伴うような時に。
じんま疹は誰にでもよく起こる病気で、サクラの樹皮(桜皮)やクヌギ(ドングリ)などの樹皮(樸ぼくそく)、シソの葉など身近な薬草が使われてきました。生活の知恵ですね。