Vol.20「目の病気」

動物のなかで、一番視力がいいのは何だと思いますか?答えは鳥類です。スズメは20㍍先から米つぶを、タカやトビは千㍍の高さからウサギを見つけることができます。ざっと人間の8から10倍の視力です。

さて現在人はずいぶんと目が弱くなっているようです。今月は目についてお話します。訴えが最も多いのが眼精疲労と視力減退です。眼精疲労は大きく分けて3つのケースが考えられます。ひとつは全身の病気や肉体的、精神的疲労、もう一つは暗い部屋で読書をしたり、小さな活字やブラウン管を長時間見続けていたりなどの外的環境、そして乱視、遠視、近視など目そのものが原因となるケースです。症状としては目がかすんだり、ものが二重に見える、まぶしい、涙が出る、目の奥が痛んだりと、いろいろです。

全身的には、頭痛、めまい、肩こり、吐き気などを訴えます。また視力を低下させる疾病として眼底出血があります。具体的には、高血圧、糖尿病、貧血、動脈、静脈の血栓などで出血するのです。眼底や網膜に出血すると視力が低下し、視野の中に黒い部分が生じます。また目の前を蚊がちらちら飛んでいるように見える飛蚊症もよく聞きます。治療はまず原因となっている病気を明らかにすることですが、なかでも気をつけたいのは糖尿病による出血です。毎年、2万人近くの人が視力を失っています。

あとは老化による視力減退、すなわち、老眼や遠視は避けがたいことですが、このような機質的以外の視力減退でしたら楽になる漢方薬があります。それでは目に効く代表的な漢方薬をご紹介します。

八味丸(はちみがん)…老齢の人で脚が弱く、夜間尿があり夕方から特に物が見えにくい人に。

五苓散(ごれいさん)…疲れると顔や手足が静脈うっ血してむくみ、目がかすんだり、はれぼったくなる人に。

杞菊地黄丸(こぎくじおうがん)…疲れやすく、のぼせたり、尿量減少または多尿でむくみのある人。かすみ目、目の乾燥感や痛み、まぶしい、はれるなどに効きます。また白内障、視神経萎縮、網膜炎など、最もよく用いられます。

四物湯(しもつとう)…貧血気味で、爪がもろい、毛髪につやがないなどの虚弱体質の人の疲れ目、かすみ目、乾燥目に用います。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)…体力がなく疲れると物がにじんだり、焦点が合いにくくなるような人に。

ちなみに最近私は朝から目がはれぼったくて視力も弱くなってきたかなと感じています。苓柱朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)を飲んでみようかな…。

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