先日テレビで、子宮頸ガンのワクチンによる副作用で痛みに苦しむ若い女性のことが放映されていました。胸が痛む思いでした。
今回はこの子宮頸ガンのお話しです。
年間約5700人の女性が子宮ガンで亡くなっていますが、このうち70~80%が子宮頸ガンです。
頸ガンは30~40才代の若い女性に多くみられますが、特にここ20年間で4倍以上になったと言われています。原因としては、いぼをつくるウイルスの仲間のヒトパピローマウイルス(HPV)に感染すると、一部の細胞の遺伝子に異変が発生して異形成(前ガン病変)が起こり、進行して子宮頚ガンを発症するとされています。そこでHPVの感染を防げるために例のワクチン投与になるわけです。日本では2001年に承認されました。
子宮頸ガンの症状は初期ではほとんど無症状ですが、進行すると腰、下腹部、下肢の痛み、排便・排尿障害などが現れます。頸ガンの一般的な治療法は外科的な円錐切除術で、手術後に妊娠が可能です。また近年ではガン細胞だけを死滅させる光線力学的治療(PDT)も注目されています。
子宮頸ガンは各種のガンの中では比較的治りやすいガンで、早期ならばほぼ確実に治ってしまうようです。早期発見が大切です。
さて漢方では慢性的な難病に対しては体に備わっている抵抗力や自然治癒力の潜在的な可能性を高めようとします。特に腎を温め全身への血流やリンパ球のめぐりを活発にし(補気補陽)、病巣の瘀血を去り(去瘀)、体に力をつけて(補血補陰)、正気(体の回復力)を強めることを目指します。
漢方治療がガン等の難病に極めて有効であることを知って頂きたいと願っています。
めざましい進歩を続ける西洋医学的な論理的治療とともにぜひ古く長く続く体全体を考える東洋漢方を試してみて下さい。
それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
四逆湯(しぎゃくとう)・・・・体力虚弱あるいは消耗し、手足、体が冷える人の免疫力向上に。
十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)・・・・全身の衰弱甚だしく、胃腸虚弱で貧血、手術後の衰弱、子宮癌、乳癌等の体力回復に。
血府逐瘀湯(けっぷちくおとう)・・・・腫瘤(肝腫、脾腫、子宮筋腫、卵巣のう腫、腹腔内血腫)など。また脳血管障害、眼底出血、血栓性静脈炎などの瘀血症状に。
桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)・・・・元来、婦人の「癥病(ちょうびょう)、漏下(ろうげ)」(子宮内のしこりやポリープ)に対して処方されていました。現在は子宮筋腫や卵巣のう腫などに用いられます。
どんな病気でも気になれば早めの検診を心掛けましょうね。