Vol.79「乳がん」

 近年、日本では2人に1人ががんになると言われています。実際、現在約33万人の方々が治療を受けながら働いておられます。医学の進歩や治療法の工夫によりほぼ60%の方々が完治する一方、40%の方々は治癒しません。今や国民病とも言える病気です。今回は特に女性に多い乳がんのお話です。
 ここ十数年ほど増加が著しく、いずれ女性のがんのトップになるだろうとの予測もあります。原因は脂肪の摂取が多くなったことだと言われていますが、事実患者さんには肥満傾向の人が多いのです。
 その他閉経年齢が高かった人、出産経験のない人や出産回数の少ない人がかかりやすいと言われています。
 一般的な症状としては、硬くて境界線がはっきりしないしこりで、押しても痛みを感じません。乳がんのほとんどがこの乳腺にできますが、まれに乳管や乳首にもできます。自分で「おや!?」と思ったら早期に検査を受けるようにしましょう。
 検査は基本は触診ですが、詳しく調べる場合は、マンモグラフィー(乳房X線撮影)で、脂肪に隠れた小さながん組織の影も鮮明に写し出せます。
 他には細胞診や乳管内視鏡検査もあります。乳がんは肺や骨、リンパ節などに遠隔転移しやすいため、大胸筋を含めた乳房全摘手術が一般的でしたが最近は精神的打撃も考え、なるべく乳房を残す傾向になっています。
 特に早期がんでは病巣部だけを小さく切除する乳房温存療法も行われ、その後、化学療法や放射線療法で転移を防止します。
さて、漢方薬は術後の体力や免疫力の回復、転移の防止などにとても有効です。
 附子、桂枝、乾姜などで体の中から温め(補腎)、滞っている血?を活血し、血流を速やかにしてむくみをとります。また脾(胃腸)の働きを整えて体全体を元気(補気)にしていきます。
それでは、代表的な漢方薬をご紹介しましょう。

〇十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)・・・病後の体力低下、疲労倦怠、食欲不振、寝汗、貧血、手足の冷えに。
〇補中益気湯(ほちゅうえっきとう)・・・病後、術後の衰弱や産後の回復、夏負け、慢性の出血症などにも用いる。
〇四逆湯(しぎゃくとう)・・・全身の機能衰弱、エネルギー代謝の低下、抹消循環不全で体が冷える人。
〇血府逐?湯(けっぷちくおとう)・・・肩凝り、のぼせ、動悸(どうき)、頭痛、鈍痛などで、顔色が悪い人の体全体の血行を改善します。

 どんな病気でもいえますが、特にがんは早期発見・治療が大切です。

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