Vol.57「低血圧症」

今回は低血圧症のお話です。

家内から「お父さん、きょう雨降る~?」って聞かれて「うん、多分夜から雨やな」と私は自信満々に答えます。的中率は、ほぼ100%です。小さい頃から私は体が弱く、虚弱体質、低血圧症で、夏場や気圧の変化についていけなくて、疲労感や脱力感で体が重くなります。日常生活には、ほとんど問題はありませんが、いろいろな不快な症状に悩まされるのが、この低血圧症です。

現代医療では最大血圧が100㍉Hg以下を低血圧と定義し、自覚症状としては、だるい、疲れやすい。めまい、頭痛、脱力感など多種ですが、私にもかなり心当たりがあります。

一般的に低血圧症改善にはバランスのいい食事、質のいい睡眠、毎日の足を使った軽めの運動などを勧められますが、漢方薬はこの低血圧症に非常によく効きます。体全体の血流をよくするのです。

さて、動脈中の血液量は全体の20%で、ほとんどは静脈や毛細血管に存在していますが、この静脈は心臓のポンプ圧にまったく影響を受けません。ですから筋肉の運動などによって自力で心臓に帰ってこなければならず、この帰りが悪い場合に低血圧症となるのです。静脈血のうっ血ですから手足や顔、目などもむくみやすくなります。

さて、直接、血圧を持続的に上げる薬剤は漢方薬にもありませんが、数カ月以上長期的に服用し、水毒、血淤(けつお)をさばき、血行を促進していくことで体質が改善され、自覚症状も楽になっていきます。

それでは代表的な漢方薬をご紹介しましょう。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)…女性特有の冷え性、めまい、貧血、慢性膀胱炎、月経障害などを伴う低血圧症の代表薬です。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)…疲れやすく慢性的な胃腸虚弱の人に用います。

真武湯(しんぶとう)…よく下痢を繰り返し、下半身が度々むくみ、めまいを伴う人に。

十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)…体力の衰弱(産後、手術後、大病後)した人に。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)…立ちくらみやめまい、動悸(どうき)などが度々起こり、排尿回数は多いが尿量が少ないメニエール体質の人に。

これらの漢方薬はいずれも補剤なので、時間をかけて続けると必ず効果が現れます。

さて、少量のアルコールは低血圧症に良く、適量なら血行促進、血圧上昇、安眠に良いとされています。実際少し飲んでいると疲労感も取れて体が楽になり、ホッとしますが、その後ついつい飲み過ぎて…。

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