Vol.39「更年期障害(血の道症)」

さて、今回は女性には避けて通れない更年期障害についてお話しします。この更年期障害で精神的な不安や閉経の寂しさなど、悩みを持つ女性も少なくありません。一般に女性の閉経期は50歳前後ですが、この時期に現れる体のさまざまな不快な症状が更年期障害と呼ばれています。

自律神経失調症と違って、女性ホルモンの減少によって起こります。このホルモンバランスの乱れによって自律神経の働きが異常になって引き起こされるのです。

症状は、ひどい頭痛、肩凝り、腰痛、のぼせ、動悸(どうき)、肥満、めまい、多汗、手足のしびれ、全身の倦怠(けんたい)感などの訴えが圧倒的に多く、日本では昔から「血の道症」と呼ばれています。ちなみにこれは、江戸時代の香月牛山の著した和漢薬処方集の中の「血の道煩(つらい)」という用語に由来すると言われています。

中国では「虚」「積冷」「結気」と言い、これは腎の衰え、冷え性、ストレスを意味します。いずれにしても、体の気、血液、水分などがうまく巡らなくなり、いろいろな不定愁訴が現われてくるようです。また、更年期障害は女性ホルモンが安定すると数年で治まりますが、中には何年間も体の不調に悩む人もいます。

さて治療法は、エストロゲンホルモン治療、鎮痛剤、精神安定剤などですが、長く使い続けますと、副作用が心配です。漢方では昔から「血の道症」は、得意な分野で有効な薬方がたくさんあります。それではよく効く漢方薬をご紹介します。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…冷えのぼせ、頭痛、生理痛がある人。

加味逍遙散(かみしょうようさん)…貧血ぎみでイライラなどの神経症状が強く、突然背中が熱くなったり寒くなったりするような時に。
 
半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)…いつも喉の辺りに何かつかえているようで胃腸の弱い人に。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)…体力がなく冷え性で疲れやすく、むくみ、めまい、耳鳴りなどを訴える人に。

甘麦大棗湯(かんぱくたいそうとう)…疲れやすく、時に原因もなく悲しくなったりイライラするような人に。

この他民間薬として、今も昔も変わらず用いられているのがサフランです。めしべ10本ほどを熱湯で煎じて飲みます。すぐに体が温まり血行がよくなり、ほっとして楽になります。サフランは薬局などで必要な分だけ小分けしてくれます。

最近は女性更年期もさることながら、男性更年期という言葉もよく聞かれるようになりました。ストレス社会が生きる意欲を妨げてしまうんでしょうかね。

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