Vol.37「めまい、立ちくらみ」

昔から日本女性の多くの人が、めまいや立ちくらみを経験しています。そのほとんどが内耳の平衡感覚の障害がもとで起こりますが、患者にとっては何とも不安で、このまま意識を失って死んでしまうのではないかと思うほどの人もいます。今回は、そのめまいや立ちくらみについてお話しします。

そもそもめまいは首から頭部への血流障害で、雲の上を歩いているようなフワフワとした感じの浮動性のめまいと、自分や周囲がぐるぐる回るような回転性めまいに分けられ、浮動性は脳やその周辺の血管に、回転性は、耳に異常があると見られています。

また耳鳴りや難聴を伴うめまいは、メニエール氏病、片方の耳が聞こえにくくなって起こるめまいは、突発性難聴、ふらふらして立ちくらみや脱力感を伴うめまいは、循環器障害と考えられます。他にも吐き気や嘔吐(おうと)、冷や汗、頭痛などを伴ったさまざまなめまいがあります。

さて、めまいが起こったらまず安全な場所で、静かに目を閉じて動かないようにし、安静を保ちます。特に回転性のめまいには頭を動かさないように注意してください。倒れないようにすることが大切です。めまいが長引く時は、体を冷やさないようにして温めます。治療法としては、特別な場合を除いて、内耳の圧力を下げる利尿剤や、車や船酔い止めの薬が一般的です。

漢方では、めまいのことを眩暈(げんうん)といい、水毒・淤血(おけつ)によって発症すると考えています。要するに、首から頭部への血行不良と見なし、体全体の血行を促進する薬方が多く用いられています。それでは、代表的な漢方薬をご紹介しましょう。

苓桂朮甘湯(りょうけいじゅつかんとう)…胃腸が弱く、胃の辺りに振水音がする動悸(どうき)を伴うめまいに。特に立ちくらみしやすい人によく効きます。

半夏白朮天麻湯(はんげびゃくじゅつてんまとう)…胃下垂や胃アトニー体質で疲れやすく、頭痛を伴うようなめまいに。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)…貧血ぎみで疲れやすく、冷え性な女性の習慣的なめまいに。体質改善にも。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)…不安神経症を伴う人の慢性的なめまいに。

血府遂淤湯(けっぷくちくおとう)…中高年の高血圧傾向の人の頭痛、肩凝り、のぼせなどを伴うめまいに。

最近は女性に限らず、男性や子どももめまいや立ちくらみを訴えてよく相談に訪れます。ストレス性疲労が多いようです。
体を温めて休ませ、よい睡眠をとるように心掛けましょうね。

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