Vol.35「高脂血症」

先日、「私毎日歩いているのに中性脂肪とコレステロールが高くって…」と中年女性。最近このようなご相談が多くなりました。
今回は、この高脂血症についてお話します。

私たちの体には血液中に必要な脂質類が溶け込み、ホルモン合成や細胞膜、エネルギーの補助、皮膚のつやなどの生命活動に大切な働きをしていますが、これらの脂質類が異常に多く含まれていることを高脂血症といいます。原因は油こいもの、糖質、ごはん、パン、ジュース類、菓子類などの過食、年齢、お酒の飲みすぎ、ストレス、運動不足による代謝の弱りなどが多いようです。

さて、高脂血症はなぜ悪いのでしょうか? まず血液中の脂肪質による動脈硬化。また血小板を凝集してしまう内因性凝固(血小板のかたまりによる血栓)。さらには血液粘度の上昇による高血圧症、心筋梗塞、脳溢血、などといった命に係る成人病になってしまうからです。

治療法は食事療法と運動です。肉類、高カロリーなものは控えめにして、魚介類、野菜類を中心にし、揚げ物や炒め物には必ず新鮮な油を使うようにします。この高脂血症の改善でよく知られるようになったのがEPA(エイコサペンタエン)です。サバやイワシなどの青物の魚に多く含まれている多価不飽和脂肪酸で、一時期健康食品として大ブームになりましたね。またビタミンEα―トコフェロールも善玉、悪玉コレステロールを調整し、血小板凝集抑制作用があることが知られています。最近では肝臓の働きを調節して、コレステロールの合成を抑える新薬も開発されています。

漢方医学では、高脂血症改善には、体の血行を促進し血液中の老廃物を代謝排出することで、同時に高血圧、心筋梗塞、脳溢血などにならない体質づくりを目指します。体質改善が進むと肥満が解消されてくる人も大勢います。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

大柴胡湯(だいさいことう)…高血圧や肥満に伴う肩こり、頭痛、便秘等があり、動脈硬化や脳梗塞の予防、治療に。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)…腹部に皮下脂肪が多く、便秘がちで脂肪ぶとり、むくみ、のぼせに。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…他の漢方薬の補助として、血液をきれいにして血流を良くするために。

田七人参(でんしちにんじん)…体液のよごれをきれいにします。

昔の人には「高脂血症」なる病気はありません。このストレス、飽食の時代、口においしいものばかりではなく、体が喜ぶ食事を心掛けましょうね。

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