Vol.17「高血圧症」

高血圧症は動脈硬化、脳卒中、狭心症、心筋梗塞、尿毒症などの生命の危険を伴う成人病を誘発するものとして最も警戒されている病気です。世界保健機構では最高値が160㎜Hg以上、最低値が95㎜Hg以上を高血圧症と称しています。高血圧にはいろいろな原因があります。まず水分代謝などが悪くなりむくみを伴う腎性高血圧、更年期障害のホルモン異常や、バセドウ病などによる内分泌高血圧症、医学的に検査しても身体のどこにも異常がないのに高い本態性高血圧症などです。また精神的ストレス、寒冷刺激運動不足、食事の乱れなど生活環境がからんでの高血圧症も大変多いようです。現在、降圧剤が多用されていますが、服用を止めれば元の状態にもどってしまいます。つまり根治する薬ではありません。

漢方ではその原因を改善し、結果として血圧が下がるように導きます。からだ全体の調子が整い、気分もよくなって、頭痛やめまい、肩こりなどの自覚症状も軽快し好転していきます。徐々に血圧を下げるのも漢方の長所なのです。それでは、よく効く漢方薬を御紹介します。

三黄瀉心湯(さんおうしゃしんとう)…顔面紅潮し、のぼせる。頭痛、耳鳴り、イライラ、不眠があり、便秘がちな人に。

大柴胡湯(だいさいことう)…更年期障害、肩こり、便秘、健忘、冷えのぼせ、痔などの人に。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)…タイコ腹の肥満タイプで、便秘、宿便があり、のぼせ、肩こりが強いが体力の充実している人に。

釣藤散(ちょうとうさん)…イライラ、のぼせ、耳鳴り、肩や背がこり、目が充血し、朝から頭痛がするような、動脈硬化症の症状の起こるような人に。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこうぼれいとう)…不眠、夢をよくみる、動悸、神経質で驚きやすい人に。

八味丸(はちみがん)…夜間頻尿、足冷え、視力減退など老人向きでやや高血圧気味の人に。

昔からの民間療法として柿の葉や、クコ葉、桑葉などをそれぞれ10㌘程煎じてお茶がわりに毎日のんだり、根コンブやクマ笹エキスをすこしずつ服用するなどがよく知られています。さて高血圧症について述べてきましたが、生活習慣病は日頃の養生が大事なのは言うまでもありません。適度の運動とストレスをため込まない生活を心がけましょう。

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