Vol.16「痛風」

痛風は関節炎の一種ですが、肉類などの過剰摂取などによる代謝障害から起こります。ふつう足の親指のつけ根がチクチクと針で刺したように痛み出し、ある日急に激しい痛みに襲われ、あまりの痛さに脂汗を流すほどになります。人がそばを歩いても振動でうずいたり、患部が衣服に触れても耐えられない激痛が走ります。足の親指や甲が腫れ上がり、ふくらはぎから太もも、腰まで痛みやしびれが広がります。風が吹き抜けても痛いことから「痛風」と名付けられました。ナポレオンもこの病気にかかっていたことから昔から痛風は帝王病とも言われていました。

この痛みは本当につらいですよ。私もその一人ですからよく分かります。痛風は尿酸という水に溶けない白色針状の結晶が患部にたまっているのです。これは食品の細胞中にある核の成分(核酸)が排泄されるために体内で合成される物質です。肉や鶏のモツ、イワシ、タラコ、イクラなどに多く含まれています。

さて痛風の治療薬は、食事療法が基本です。やはり肉類や卵類の取り過ぎ、アルコールの飲み過ぎに注意して、その上で水分を多いめに取り尿酸排泄を促しましょう。また脂肪の多い食品は血中ケトン体の沈殿が尿酸排泄を妨げるので控え目にしてください。西洋医学では痛みを抑えるため消炎鎮痛剤の大量、短期療法をしますが、漢方では痛みはもちろん慢性化を防ぎ根治するために体質を考えて処方します。それでは代表的な漢方薬を紹介します。

大柴胡湯(だいさいことう)…かた太りでがっちりした肉食過多の人に向いています。便通をよくします。

防風通聖散(ぼうふうつうしょうさん)…太鼓腹の肥満型で大柴胡湯タイプより腹壁がやわらかい人。美食、過食による体内の食毒をおろします。

越婢加求湯(えっぴかじゅつとう)…発作が起きたときの痛み発熱に用います。

勺薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)…痛みを和らげる頓服として他の漢方薬と合方します。

疎経活血湯(そけいかっけつとう)…お酒をよく飲む人の痛風に効きます。

民間薬としてマタタビなどが有名です。その昔、美食家の多いイギリスでは痛風でない者は上流社会の紳士ではないとまで言われていたほどですが、この耐えがたい痛みを考えると平民の方がよかったんではないでしょうか?

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