Vol.14「胃炎・胃潰瘍」

胃炎はみなさんも多かれ少なかれ経験したことがあるでしょう。お酒の飲み過ぎ、ヘビースモーク、刺激物の取り過ぎ、あるいはストレスや食物アレルギー、冷たい物の取り過ぎなどでよく起こります。私たちの胃は毎日、ビール瓶にして2~5本分もの胃液を作っています。そして食べた物をかゆ状に分解して、十二指腸に送り出しています。

ところが過食や強いストレスなどで胃液の分泌が過剰になり胃壁が荒れてしまうと胃炎になってしまうのです。多くは腸炎なども併発します。痛み、むかつき、嘔吐、食欲不振、気分が悪いなどの急性胃腸炎に漢方薬は大変よく効きます。また、神経性の慢性胃炎などにもより有効です。最近は特にストレス性胃炎が多くみられるようになりました。ストレスに胃が耐えきれなくなって胃潰瘍まで発生してしまいます。慢性胃炎の10人に一人は胃、十二指腸潰瘍を罹患していて女性より男性の方が3倍多いようです。

胃潰瘍はだいたい食後1~4時間後に痛みが起こりますが、十二指腸潰瘍は空腹時や夜中の一時頃に痛んだりします。痛みの度合いと潰瘍の大小とはあまり関係ないようです。

現在、西洋医学では潰瘍を食い止めるために塩酸の分泌を抑制するH2レセプター拮抗剤を用います。とてもよく効きますが長期連用すると胃壁が薄くなって、再度強い潰瘍が発生した時は早く穴があいてしまいます。ですから一時的に抑えとして使用すべきです。 それでは素晴らしい効果のある代表的な漢方薬をご紹介しましょう。

安中散(あんちゅうさん)…慢性急性に用い、胃痛はなはだしく、胃酸過多症でストレスに弱い人に効きます。

平胃酸(へいいさん)…みぞおちがつかえて、もたれやすく、食べるとお腹の膨満感のある人に用います。

人参湯(にんじんとう)…冷え性で血色が悪く、気力、体力の衰えている人の胃炎に。

半夏潟心湯(はんげしゃしんとう)…急性胃炎で腹がゴロゴロ鳴り、みぞおちのつかえ、げっぷ、胸やけなどに有効です。

柴胡桂枝湯(さいこけいしとう)…神経性胃炎や胃・十二指腸潰瘍の痛みに。

麦門冬湯(ばくもんどうとう)…慢性胃炎や萎縮性胃炎に。

小建中湯(しょうけんちゅうとう)…体力がなく胃がシクシク痛む時。

六君子湯(りっくんしとう)…慢性胃腸虚弱に。

他に民間薬としてはセンブリ、ゲンノショウコ、クマ笹などが用いられます。胃が丈夫で、なんでもおいしく食べられるというのは健康のバロメーターです。年末は食べ過ぎ、飲み過ぎに気をつけて、気分よく新年を迎えて下さいね。

PAGE TOP