Vol.6「糖尿病」

平均寿命と食生活の変化に伴い、現在、糖尿病患者は国内で推定300万人以上と言われています。専門医でも自分の糖尿に気づかない程、自分ではわからない病気です。進行すると自覚症状が現れてきます。

やたらと口が渇く、いくら食べても空腹感がある。小便が多く濁る、体がだるく指先がしびれる。目が見えにくくなり焦点が合わない。皮膚がかゆく化膿しやすい、などです。

これらは血中糖が多くなり血液がドロっとし、毛細血管がつまるからです。

糖尿病は現在、Ⅰ型とⅡ型に分けられています。

I型糖尿病…遺伝的要素、自己免疫疾患からインスリン分泌が少ない。豚や牛からのインスリンを絶えず注射。
Ⅱ型糖尿病…肥満、精神的、肉体的ストレスからの、抗インスリンホルモンによってインスリンの分泌低下。

合併症としては①脳血管障害②末梢神経炎③血管炎④腎障害⑤網膜病変⑥肝炎⑦皮膚感染⑧狭心症が知られています。 

治療は、血糖コントロールと食事、運動等の生活管理が基本です。漢方では全身状態の改善と合併症を引き起こさない体質づくりを目ざします。これが何よりも大切です。

それでは症状に応じた代表的な漢方薬をご紹介します。 

①白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)…初期で激しくのどが渇き、水をいくら飲んでも渇きがとれない。小便が多い。

②増液承気湯(ぞうえきじょうきとう)…いくら食べても空腹感があり太らない。便秘。 

③六味地黄丸(ろくみじおうがん)…頻尿あるいは尿が濁る。手足がほてりだるい。

④牛車腎気丸(ごしゃじんきがん)…腰から下肢が力なく、精力減退、夜間尿、手足の冷えなどやや慢性化。

⑤桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…糖尿病の進行に伴い発生する顔色の黒ずみ、上下肢のしびれ、疼痛、動脈硬化症などの古血を去る。

他にお茶としてグァバ茶、タラ根皮茶、十薬、トウモロコシの毛茶など効果があります。少し高価ですが薬用人参は古くからよく用いられます。

何度も述べますが、糖尿病はさまざまな合併症を併発します。この予防が大切です。そのために、バランスのよい食事と十分な睡眠をとり、毎日20~30分の散歩やハイキングをお薦めします。生活習慣を気分よくし、自分に合った漢方薬を飲んでみて下さい。きっとよい結果がみえてくるでしょう。

「毎日20~30分の散歩もおすすめ」

次回は膠原病についてお話します。

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