前回に引き続きアトピー性皮膚炎について述べていきます。アトピーを治していく時、最も苦労するのは長期にわたって合成ステロイドホルモン剤を使い続けてきた人です。体内の副腎皮質ホルモンを作る力が衰え、自分自身で炎症を抑える力が弱くなっています。一度使い出したホルモン剤からの離脱は、容易なことではありません。リバウンドも覚悟してしっかりと治療に取り組みましょう。
こんな時、漢方薬は非常に効果があります。体に合った自然漢方薬を根気よく飲み、かゆみが強い時には、非ステロイド系の軟膏(紫雲膏=しうんこう=、華陀膏=かだこう=、レスタミン軟膏など)でスキンケアをしながら、除々にステロイドホルモン剤をやめていくことができるでしょう。
それでは、それぞれの体質に合った自然漢方薬を御紹介します。
①温清飲(うんせいいん)…慢性に経過した頑固な皮膚粘膜の疾患で、皮膚が渋紙のようにかさついて、枯燥している。また紫外線アレルギーなどの皮膚過敏体質の人、のぼせ、ほてり、イライラなど。
②消風散(しょうふうさん)…かゆみが強く(夜間に増悪する傾向がある)、局所の発赤と熱感、ジュクジュクとして水疱形成、枯口渇。
③白虎加人参湯(びゃっこかにんじんとう)…体が熱っぽく、ほてる。患部の赤味、熱感が強い、安眠できないほどかゆみが激しい。体表面にこもった行き場のない炎症、かゆみを治す。
④清上防風湯(せいじょうぼうふうとう)…身体上部(特に顔面)の赤発、熱感、はれ、かゆみ、化膿傾向のある皮疹を治す。
⑤柴胡清肝湯(さいこせいかんとう)…疳症、神経質な人、特に夜寝入ってから無意識にかいてしまう。小児によく用いる。
これらの他にも小柴胡湯、黄連解毒湯などの有効な漢方薬を使い分けて治していきます。
さて、前回に続きアトピー性皮膚炎について述べてましたが、アトピー性皮膚炎は根治が難しい患者泣かせの病気です。しかし真剣に取り組めば必ずよくなっていきます。漢方薬は素晴らしい効果を現してくれるでしょう。アトピーに悩む皆さん、必ずゴールはありますよ。
次回は、糖尿病についてお話しします。