Vol.2「不妊症を考える」

「子どもを授かりたいのに妊娠しない」「精子無力症と診断され、希望がなくなった」「妊娠しても流産してしまう」など深刻に悩んでいる夫婦は数多くおられます。

「不妊症原因の一般的統計」

現在、10組に1組の夫婦が子宝に恵まれずにいます。正常な男女が結婚して正常な夫婦生活を営んでいるにもかかわらず、2年以上たっても妊娠が認められない状態を不妊と定義されています。不妊症は女性にとって深い悩みです。まじめで誠実な人ほどストレスをため込みがちになります。

西洋医学では不妊症というと卵巣、子宮、卵管などの生殖器に注目して治療しますが、漢方では妊娠しやすい母体づくりを最重要視します。

不妊を訴えるほとんどの方が肩こり、目まい、冷え性、生理痛、低体温症などの血行障害があり、ストレス、神経疲労からのホルモン分泌の乱れ、過食、運動不足による肥満が見られます。

体を温めて体温を上げこれらの症状を改善していき、体全体を無理なく健康体へと導いていきます。

タイプ別によく使う漢方薬をいくつか挙げてみます。

①虚弱体質、貧血、冷え性、習慣性流産=四物湯(しもつとう)、当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)、人参湯(にんじんとう)。

②胃腸が弱く太れない、疲れやすい=六君子湯(りっくんしとう)、補中益気湯(ほちゅうえっきとう)、十全大補湯(じゅうぜんだいほうとう)。

③ストレス、イライラ、生理不順、無月経=加味逍遙散(かみしょうようさん)、温経湯(うんけいとう)、四物湯(しもつとう)。

④子宮筋腫、子宮内膜症、多のう胞性卵巣=桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)、血府遂淤湯(けっぷちくおとう)、桃核承気湯(とうかくじょうきとう)。

⑤水太り、足冷え、むくみ、多汗症=防己黄蓍湯(ぼういおうぎとう)、五苓散(ごれいさん)、真武湯(しんぶとう)。

以上ですが、これらの混合症ももちろんあります。

不妊症は女性一人だけの問題ではなく、男女二人の問題です。二人三脚で最良の道を見つけることが大切です。体を温め、ストレスをため込まず、体によいものを食べる。そして自分に合った自然漢方薬を服用して本来、体にある生命力を働かせて下さい。きっとよい結果が得られるはずです。

次回は自立神経失調症について述べます。

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