江本薬局
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Vol.62「気管支ぜんそく」


今回は気管支ぜんそくのお話をします。

ぜんそくは細い気管支の枝にけいれんが起き、気管支壁が収縮して気道が狭くなるために、呼吸、特に吐く息が苦しくなる病気です。

秋口や梅雨どきなどの季節の変わり目や、気圧の変化などで起こりますが、空気の冷える夜中に突然発作が出やすく、数十分から数時間ヒュウヒュウ、ゼイゼイして呼吸困難となり、激しい咳で苦しみます。

気管支のけいれんと浮腫のため、息を吐くことができず酸素不足から死に至る大変怖い病気です。

原因は体質的にアレルギーであることが多くPM2・5や花粉、ほこりなどの大気汚染、かぜなどの細菌感染、食品によるアレルゲンが主な誘因となります。

現代医学での治療法はアレルゲンを特定した脱感作療法や対症療法としてのステロイドホルモンの内服、発作時の吸入療法などですが、効果は一時的で副作用は重大です。根治するのはとても困難な病気です。

さて、いにしえの医聖・ヒポクラテスが「病気を診るのではなく、病気を持っている人間を見よ」と教えられたそうですが、漢方医学は全く同じような考え方で、一つの病気を全体的な症状から判断して治療に当たります。

特にこのぜんそくは、痰(たん)が異常に発生し呼吸を妨げます。痰はもともと淡(水のこと)の流れが悪くなって水毒(水分の代謝異常)となったものです。

私たちの体の中で水分循環をつかさどっているのは肺、脾(胃腸)、腎とみなして、この三臓を温め、働きを強化し、免疫力を上げて、体質を改善しながら根治を目指します。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

麻杏甘石湯(まきょうかんせきとう)…発作用の薬で、顔を真っ赤にして咳込み、顔や頭から汗をかくような時に。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)…くしゃみ、鼻水、泡粒のような痰が止まらないような時に。

越婢加半夏湯(えっぴかはんげとう)…激しく咳込んで最後に吐いてしまうような時に。ぜんそくには最もよく効く処方の一つです。

蘇子降気湯(そしこうきとう)…虚弱体質で、足の冷えを訴える人のぜんそくに効果があります。

柴朴湯(さいぼくとう)…最もよく用いられるぜんそくの体質改善薬です。平素から服用していると季節の変わり目にも発作が起きなくなります。

フィギュアスケートの羽生結弦(はにゅう・ゆづる)選手は、幼い頃から小児ぜんそくで苦しまれてきたようです。すごい精神力ですね。
2015-06-08 00:00:00

Vol.61「アレルギー性結膜炎」


今回はこの結膜炎のお話です。

黒目を覆っている角膜に対して、白目部分を覆っている薄い膜を結膜といい、この部分に起こる炎症を結膜炎と言います。

原因は、花粉、かび胞子、真菌などですが、最も多いのがダニを含んだハウスダストです。特に、花粉の時期に鼻炎に伴って起きるケースがよくあります。

スギ、ヒノキ、ブタクサ、バラ、イチゴ、モモ、ウメ、キク、イネなどの花粉抗原によって目の結膜が感作(過敏反応)され、I型アレルギーからのヒスタミン遊離で、かゆみ、充血、涙目、目やになどの症状に悩まされます。

また慢性化すると、花粉のシーズンが過ぎても年中充血やかゆみが残り、患者さんにとってはとても苦痛です。

治療法はアレルギー性鼻炎と同じく、アレルゲンを少しずつ注射して体を慣らしていく減感作療法や、対症療法として抗ヒスタミン剤、ステロイド剤などの内服や点眼剤が有効ですが、なるべくステロイドの長期使用は避けたいものです。

半年以上の使用で角膜や結膜の免疫力が低下し、白内障や角膜ヘルペス、角膜真菌症などの感染病にかかってしまったという例もあります。

さて、眼科での治療が思わしくない時や、他にも全身症状が表れている時には、眼科治療と併用して漢方薬を使ってみてください。漢方では症状の緩和とともに、体を温め、血行を良くして免疫力を向上し、アレルギー体質そのものを改善していきます。

ですから同時にアレルギー性鼻炎やじんましん、食餌アレルギー、においアレルギーなども治ってしまう例も多くあります。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

十味敗毒湯(じゅうみはいどくとう)…華岡青洲が考案した薬方で初期のアレルギー疾患やじんましんに用いる。また、長期に服用して体質改善を図る。

銀翹散(ぎんぎょうさん)…涙目よりも強い充血とかゆみに。

小青竜湯(しょうせいりゅうとう)…アレルギー性鼻炎の発症時に併発する結膜炎や涙のう炎に。他には風邪の咳嗽(がいそう)や鼻炎にも、頻用されます。

越婢加朮湯(えっぴかじゅつとう)…まぶたが腫れ、外見が不潔に見えるほどただれ涙や目やにが多い時に。

葛根湯(かっこんとう)…結膜炎になりかけで、肩凝りが強い時に。

1960年代までは、アレルギー患者さんは日本ではごく少数しかありませんでしたが、近年急増しています。特に子どもに多く、環境や食べ物の変化もありますが、外で遊べなくなったのも一因かなと思う時もあります。
2015-06-01 00:00:00

Vol.60「精力減退」


不妊症と言えば女性のことを考えがちですが、最近は男性不妊が非常に多くなっています。

病気や虚弱体質、加齢からくる体力低下以外に、まだ若いのにスタミナ不足、精力減退を訴える人が多く、ほとんどが疲労、ストレス、コンプレックス、恐怖心などの精神的な理由が主因です。結果、精子数や運動率が低下し、男性不妊となっています。

ちなみに精力には個人差があり、70歳を超えて元気な人もあれば、40歳の声を聞く頃からめっきり衰える人もいますが、一般的には50歳後半から少しずつ精力が減退していくのが自然なところです。

西洋医学もED対策は進んできていますが、漢方医学では得意分野の一つで昔から人々は涙ぐましい努力を続けてきました。

南アフリカのカメルーンやナイジェリア、コンゴ付近に自生するヨヒンベの樹皮から作られるヨヒンビンは男性催淫薬として世界的に有名で、日本でも製品化されています。南アメリカでは高山野菜のマカが用いられ日本人にも最近はなじみになっていますね。中国ではイカリソウがあります。四川省の北部に淫羊(いんよう)というヤギがいて、霍(かく)という植物を食べて一日に100回も交尾するというので、この植物を淫羊?と呼ぶようになったそうです。

日本でもイカリソウは自生していて精力剤として用いられています。動物生薬として代表的な強壮薬が鹿の角です。この鹿茸を主薬とする漢方処方に鹿茸大補湯がありますが、中国の明の時代に作られ、韓国を経てわが国に伝わりました。

強壮以外にも体力や視力の衰え、冷え性、ひざや関節の痛みなど、さまざまな人に服用されています。

さて漢方医学では、精力減退を腎虚と考え、全身症状の一部ととらえます。漢方でいう「腎」とは、腎臓以外にも副腎皮質と関係のある脳下垂体、性腺、甲状腺、膵(すい)臓などのホルモン器官と関連を持つものとしています。ですから精力が減退して性機能が落ちることだけではなく、心身の不調や老化までをも考えて補腎剤を用いて改善していきます。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

八味地黄丸(はちみじおうがん)…中高年以上で体力が衰え下半身に力が入らないような人に。

桂枝加竜骨牡蛎湯(けいしかりゅうこつぼれいとう)…元気がなく不安感や不眠、多夢、夢精などの神経障害のある人に。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)…普段から元気がなく、慢性的な疲労感がいつも残っているような人に。

鹿茸大補湯(ろくじょうだいほとう)…体が冷えやすく、虚弱体質気味で貧血、食欲不振、神経痛、関節の痛みなどを訴える人に。

古今東西を問わず男性は精力絶倫にあこがれますね。
2015-05-25 00:00:00

Vol.59「シェーングレン症候群」


最近ドライアイなどで困っている人が多くなっているとテレビなどで言われていますが、これに関連して、今回はシェーングレン症候群のお話をします。

80年ほど前のスウェーデンの眼医者さん、シェーングレンが発表した病気で、涙腺や唾液腺に慢性的な炎症を起こし、目と口が乾燥する病気です。

慢性関節リウマチ、全身性エリテマトーデスなどと合併して表れるので、膠原(こうげん)病の一つと見なされ、閉経期以後、40~50歳代の女性に多く発病します。

まず口と目が渇く症状が表れ、唾液が出ないため食物を飲み込むことができず、いくら水を飲んでも口の渇きが取れなくなります。

また目も涙が出にくくなって充血し、痛みやかゆみで悩まされます。乾燥性角結膜炎が起こるためで、症状が進行すると失明する恐れもあります。

中年以後の女性に多発することから、ホルモンと何らかの関係があるとも言われていますが、原因は今のところ分かっていません。

このシェーングレン病と併発する病気に、全身の皮膚が硬くなって、こわばり痛む強皮症、全身の皮膚と筋肉が侵される皮膚筋炎、あちこちの関節が痛み、硬化する多発性関節炎などがありますが、いずれも膠原病です。

治療は現代医学では完治させることができず、保存療法になりますが、主に消炎剤やステロイド剤などで、重症例では免疫抑制剤を服用します。シェーングレン病では人工涙液の点眼や人工唾液を用いたりすることもあります。

さて、このシェーングレン病のような腺細胞の変性や萎縮などの増殖性炎症疾患を、漢方では淤血症体質と見ます。ですから体の気、血、水、をよく巡らせ、神経を緩め(疎肝)、腺分泌を促す滋陰剤を駆淤血剤と併用して治療に当たります。それでは代表的な漢方薬をご紹介しましょう。

弓帰調血飲第一加減(きゅうきちょうけついんだいいちかげん)…冷え性で貧血気味の虚弱体質の人に。本方は産後の補養のためにつくられた処方で、温めながら古血を去り全身の血行を良くします。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)…疲れやすく、めまい、頭重、肩凝り、生理不順などの血の道症の人に。

加味逍遙散(かみしょうようさん)…ゆううつ感、いらいら、怒りっぽい、などの神経症状とともに、生理痛、生理血が少ない、無月経などの更年期症候群の女性に。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…冷えのぼせ、肩凝り、頭重やめまい、しみ、湿疹などの?血体質改善に。

シェーングレン病をはじめとする膠原病は微小血流が悪化して、膠原病繊維膜(組織結合膜)の変性や萎縮などから炎症が慢性化します。どうも神経的な誘因が大きいと感じています。
2015-05-18 00:00:00

Vol.58「脳卒中」


今回は「脳卒中」についてのお話です。

よく「脳卒中で倒れて…」と耳にしますが、脳卒中とは脳に障害を起こし、運動麻痺(まひ)が残る症状のことを言います。原因は血管が破れて起こる脳出血と、血管が詰まる脳梗塞によるものとがあります。

まず脳出血による脳卒中は、高血圧が引き金となって血管が破れる場合がほとんどで、発作前の自覚症は軽く、頭痛、めまい、吐き気などが時々起こる程度でつい見過ごすことが多いようです。

しかし、特に三層からなる脳を覆っている中間のくも膜の動脈瘤(りゅう)に出血を起こした時に、くも膜下出血と呼びますが、これは極めて激しい頭痛、吐き気を伴います。

これに対して出血のない脳梗塞による卒中は、脳が不活発になるため、めまい、頭重、のぼせ感、耳鳴り、手足のしびれ、記憶力などの低下が見られ、昔のことはよく覚えているのに、現在のことは物忘れがひどく人との約束をすっかり忘れたりなどの症状が見られます。

また、体の他の部分にできた血栓が脳に詰まる脳梗塞は、急な脳卒中を引き起こす原因となります。いずれにしても治療は早いほどよく、発作から6時間以内が目安になります。

さて、脳卒中の後遺症で片麻痺や言語障害が残った場合には、リハビリテーションとともに回復を早めるために漢方薬の服用が効果的です。

漢方では、脳卒中そのものを治療することはできませんが、その効果は古くから知られていました。後遺症期には、運動障害とともに、精神的な支えも必要で、そのような状況に応じて処方されています。

いつも言うことですが、漢方では体全体を考えて、気、血、水をめぐらせ、血流を改善して体に力をつけていきます。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

続命湯(ぞくめいとう)…みぞおちや脇腹に圧痛がある人の運動麻痺や言語障害に最適です。後遺症に対してしばしば著効を現します。

抑肝散(よくかんさん)…気が短く、怒りっぽい、手足が震える人に。

疎経活血湯(そけいかっけつとう)…特に左半身に運動麻痺やしびれがある人に。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)…冷え性で貧血傾向の女性に。

桂枝茯苓丸(けいしぶくりょうがん)…古血を去り、血流を改善する目的で、予防と再発防止に長期的に服用します。

脳卒中は何と言っても予防や再発防止が大切です。小さな異変を見逃さないようにしましょう。食事面では、脂肪や塩分の取り過ぎに注意して、肥満や高血圧などにならないように。また、日ごろから水分を多く取るように心掛けましょう。
2015-05-11 00:00:00

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