江本薬局
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vol.80「鼻たけ(鼻ポリープ)」


 3月、桜の開花も始まり春らしい日も感じられるようになりましたね。同時に花粉症の季節でもあります。くしゃみ、鼻水、鼻づまりでお悩みの方も多いと思われますが、今回は鼻たけのお話しです。
昔から鼻たけは慢性鼻炎や蓄膿症(副鼻腔炎)によるものが多かったのですが、最近はアレルギー性鼻炎による鼻たけもみられます。症状は鼻の中にできる人差し指くらいの大きさの、キノコ状かブドウ状のポリープで、空気の通りを妨げるため強い鼻づまりを起こします。大きくなると鶏卵くらいになってのどの奥のほうまで垂れ下がり、呼吸が苦しくなります。原因は鼻腔内の分泌物の刺激やアレルギー反応の一種という説などがありますが、まだ特定されていません。現代の治療法はステロイドホルモン剤の噴霧治療ですが、結果的にはほとんどが手術で取り除きます。しかし鼻たけは抜いても抜いても出てくる雑草と同じで根本的な手術を行っても再発することが多いようです。鼻たけは腫瘍ではありませんからそれ自身は悪性ではありませんが、特に片方のみがガンコな鼻づまりには腫瘍の場合もありますので注意します。
また慢性鼻炎や鼻たけ等を伴う視力低下や視野狭窄、眼痛などを鼻性視神経炎とよびますが、副鼻腔炎が、隣にある視神経に及んだもので眼科ではなく耳鼻咽喉科での治療になります。
 さて漢方では部分を見て体全体を考え、処方を決めます。ですので鼻たけのみならずポリープ体質の改善を促し、根治を目指します。鼻腔の充血やうっ血を去る駆瘀血剤、鼻粘膜のむくみ(水毒)をとる利水剤、頭部の血行をよくする理気活血剤などを併せ用いて再発しない体づくりを考えてゆきます。ですので、蓄膿症やアレルギー体質も含めての治療になります。
手術を受けようかどうか迷っている場合にはぜひ一度漢方薬を試してみて下さい。
 
それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
葛根湯加川芎辛夷(かっこんとうかせんきゅうしんい)・・・・・・・・蓄膿症や慢性鼻炎に最もよく用いられ、肩こり、頭痛、鼻づまり、後鼻漏などの強い症状の人に。
 
辛夷清肺湯(しんいせいはいとう)・・・・・・・・・・・濃い鼻汁が出たりのどに入ったりするような人で慢性の蓄膿症や鼻たけの改善に。
 
小柴胡湯(しょうさいことう)・・・・・・・・・・・・アレルギー体質の改善薬として用いられる。
 
十全大補湯(じゅうぜんだいほとう)・・・・・・・・・・・体力が落ちて貧血や疲労がひどい人に。
 
 
人知れず鼻づまりで頭痛やにおい、味がわからず悩んでいる方も多いようですね
2016-12-20 16:20:03

vol.79「脊柱管狭窄症(腰痛)」


 最近はテレビなどの健康番組で色々な病気が取り上げられ、著名な医師が出演し、丁寧に解説してくれていますね。その一つに骨の病気からくる腰痛の話題がありました。今回はこの脊柱管狭窄症のお話しです。
 私達の背骨は椎骨という骨が積み重なってできていますが、その中心の管状の空間には神経やそれに伴走する血管があります。この部分が圧迫されると神経が障害され、腰痛や下肢のしびれ、痛みなどを起こしますが、これを脊柱管狭窄症と言います。
原因は、年をとることによる椎間板の硬化やそれに伴う椎間関節や周囲組織の変性からのすべり症がほとんどです。特徴的な症状としては間欠跛行で普段は何ともないが、数分歩くと足がしびれたり痛くなったりして歩けなくなり、前かがみで休むとまた歩けるようになるといった具合です。他には足先が持ち上がらない、階段でつまずく、足に力が入りにくい、さらに悪化すると歩行時に尿意を促すなどの排尿障害や便秘などの異常も起こるようです。
足の症状だけで腰痛は全くない場合もあります。
またこの間欠跛行は閉塞性動脈硬化症からもみられますが、これは下肢への血行不良で腰部の姿勢とは関係ありません。
治療法は保存療法が中心で、痛み止め、筋弛緩薬、ビタミン剤などの内服、温熱、超音波、体操、けん引などの理学療法、神経ブロック注射などを症状にあわせて用いられます。
 さて漢方では、特に「腰は腎の府」「腎は骨を主る」とされています。ですので腎の陽気(体を温める働き)を附子、乾姜などで高めて腰の骨や神経、筋肉を柔らかくし、血行をよくして痛みを治してゆきます。
高齢になってくると下半身の筋力が弱くなりますが、このことも脊柱管狭窄症の大きな要因の一つです。骨を支える筋肉を鍛える運動療法で痛みを軽くすることも大切です。
 
 それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
麻附細合桂枝加苓朮附湯(まおうぶしさいしんとう)・・・・・・ひきつるような強い痛み、寝返りが打ちづらい、冷えると悪化、温めると楽など。

薏苡仁湯(よくいにんとう)・・・・・・・・・・・・・腰から下肢への持続性鈍痛、冷えると悪化、足腰が重だるい。

温経湯合五積散(うんけいとうごうごれいさん)・・・・・・・・・・冷えると痺れや痛みが強く、四肢の強い冷えや内股の足の付け根、鼠蹊部の痛みなど。

疎経活血湯(そけいかっけつとう)・・・・・・・・・・・長引く下肢の痺れや痛み、刺す様な痛み、夜に特に痛くなる。
 
 
年齢とともに多かれ少なかれ足腰は弱くなります。鍛えましょう。

 
2016-12-20 16:10:05

vol.78「アレルギー性紫斑病」


 風邪をひいて扁桃腺や副鼻腔炎を起こした後に突然、腹痛やむくみ,関節痛,血便,血尿,出血斑が現れ、特に反腹する強い腹痛,嘔吐に悩まされ、入退院をくり返すような病状は、アレルギー性紫斑病と考えられます。これは皮膚,関節,消化器,腎臓などの血管が炎症を起こし血液が漏れる病気です。
 5才~15才に多く、手や足の関節が痛んで歩行困難になることも少なくありません。また約半数は尿異常から腎臓病が認められ、紫斑性腎炎と言われます。
ほとんどは発症して数ヶ月間、病状をくり返した後、次第に安定してゆきますが、長期的な問題の多くはこの慢性腎臓病です。原因は感染症,薬剤,食べ物,昆虫などからのIgA抗体の異常と関係しているのではと考えられています。治療法は、現在現れている症状に対する緩和療法で、薬では抗生物質,止血剤,ステロイドホルモン剤,抗アレルギー剤,鎮痛剤などその症状に合わせて使用します。しかしこれといった決め手になる特効薬はありません。このアレルギー性紫斑病にかかった子供さんもつらいものですが、親は大変な心労を感じて生活しなければなりません。
 さて漢方医学では、止血や消炎,健胃などで症状の改善をもちろんですが、本治はアレルギー体質そのものを治すことを目指します。ちなみにアレルギー体質の人は神経過敏症で胃腸虚弱,低体温の人が多いようです。ですので附子,桂枝,乾姜などの薬草で体を中から温めて免疫力を高め、柴胡,黄芩,芍薬などで神経過敏体質を改善してゆきます。
 最近テレビや雑誌で、体の免疫力は腸内フローラ(腸内の1000種類にも及ぶ細菌のお花畑)が言われていますが、漢方でも脾胃(胃腸)は免疫力の第一とみています。胃腸の強い人は病気にかかりにくいですよね。
 それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)・・・・・・・・老人や虚弱者で冷えやすく、抵抗力の弱い人の体質強化に。

小柴胡湯(しょうさいことう)・・・・・・・・・・・アレルギー体質改善の代表薬。

柴胡加竜骨牡蛎湯(さいこかりゅうこつぼれいとう)・・・・・・・イライラ,不眠,不安などで不安神経症,強迫神経症,アレルギー体質改善に。

小建中湯(しょうけんちゅうとう)・・・・・・・・・・・体力虚弱で時々腹痛があり、疲労倦怠感を訴える小児虚弱体質改善に。
 
 
アレルギー体質が非常に多くなってきたのは環境の変化とストレス社会が原因でしょうか。

 
2016-12-20 16:05:21

vol.77「冷え性・低体温症」


 一般的に私達の体温は約36.5℃ですが、深部体温が35℃以下になると低体温症と呼びます。最近、子供や女性に多くみられるようになりました。特に生理不順や不妊症は、冷えや低体温でホルモン分泌の異常や自律神経の乱れが主な原因の一つと考えられています。
 私達の体温が1℃下がると基礎代謝や免疫力の低下、血行不良などから様々な病気を引き起こす原因となります。生活習慣病、アレルギー、感染症、不妊、精神疾患など。また、体温が35℃でガン細胞は活発になるので、温熱療法で体温を2℃程上げ免疫力を高めるよう指導する先生もいらっしゃいます。
 この低体温症になる原因として、特に冷たいものや甘い物の食べ過ぎ、ダイエット、冷暖房、運動不足、自律神経失調、低血圧症などからの血行不良があげられます。
改善には、運動で血液を送る筋力の強化、体を冷やす糖分や冷たいものを控える、お風呂にゆっくり浸かる、筋肉のもとであるタンパク質を多く摂るよう心掛けるなどが効果的なようです。ちなみに「おもいっきりテレビ」に出演されていたあるドクターが以前、「体温を上げて病気を治す」というタイトルの本を出版され、その中で体温の低下=血行不良が様々な病気の最大の原因で「体熱を作り出し免疫力を高めれば、ほとんどの病気は治る。」とまで述べられていました。
さて漢方では病気を、体を温めて(温煦作用)内から治療してゆこうという考えがあります。
私達の体を温めているのは「腎」であり、肝(自律神経)が血行を良くし、体温を調節しているとみなします。ですので、附子・桂枝・乾姜などの生薬を用いて体を温め、柴胡・芍薬・枳実などで気血のめぐりを良くし、冷え性・低体温症を改善してゆきます。ぜひためしてみて下さい。
それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
麻黄附子細辛湯(まおうぶしさいしんとう)・・・・・・体力虚弱で、手足に冷えがあり、寒がりで風邪をひいては治りにくいような人に。

当帰芍薬散(とうきしゃくやくさん)・・・・・・・・虚証体質で貧血、腹痛、疲労倦怠感、冷え性、生理不順、めまい、肩こ
り、頭痛などを訴える女性に。

真武湯(しんぶとう)・・・・・・・・・・新陳代謝が衰えて、四肢が重だるく、冷え、寒け、むくみ(特に下半
身)、泥状~水様便を繰り返すような人に。
 
 
冷えは万病のもとと言います。運動不足を解消し、冷たいものを摂り過ぎないように心掛けましょう。

 
2016-12-19 14:44:49

Vol.76「狭心症・心筋梗塞」


日本では死因の1番が「がん」で、2番目が心臓病です。実際「心臓に不安があって血圧の薬を長年飲んでいます」という声を店頭でもよくお聞きします。今回はこの心臓病についてのお話です。

私たちの心臓は心筋という特別な筋肉でできていて、手足や体の筋肉とは全く違った機能を持っています。一つひとつの筋肉が自ら自動収縮する力を持ち、一日に約10万回程度拍動してほぼ8000リットルの血液を全身に送ります。

この心筋細胞自体は代謝せず、一生同じ細胞が働き続けます。これほど頑強な心筋ですが、この心筋に栄養を送る冠血管が狭くなり血液が流れにくくなった状態を狭心症、血栓ができ、つまって心筋が壊死した状態を心筋梗塞としています。また、これらをまとめて虚血性心疾患と呼んでいます。

狭心症は労作性狭心症、安静時狭心症、夜間狭心症などに分類されていますが、ほとんどは胸から喉にかけての痛み、放散痛での左肩から腕、みぞおち、背中などの深い所に痛みが起こります。痛み方はもやもやした軽い痛み、締め付けられるような痛みなど強弱さまざまで、だいたい5~6分続きます。これが心筋梗塞になると、突然の激しい痛みが30分以上続き、締め付け感、圧迫感、灼熱感、けいれん、時には意識を失ってしまうこともあります。

これは左心室の壊死によるもので、死亡率が40%、そのうち70%は発作時1~2時間で亡くなるという大変危険で急を要する病気です。

この虚血性心疾患の直接の原因となる動脈硬化を引き起こす因子として6つの要因が言われています。高血圧、高コレステロール血症、肥満、糖尿病、ストレス、疲労などです。さて、治療は現代医学では発作期と緩解期に分けて行われますが、漢方医学でも同じ方法をとります。それでは代表的な漢方薬をご紹介しましょう。

瓜呂薤白白酒湯(かろがいはくはくしゅとう)…みぞおちから心臓にかけての痛み、あるいは左肩や左腕などへの放散痛、また少し激しく動くと心臓が痛んで呼吸が苦しくなるような人に、長期的に用いて致命的な心筋梗塞を防ぐ。

炙甘草湯(しゃかんぞうとう)…動悸(どうき)、息切れ、心悸亢進、狭心症を発症しやすい人の予防、体質改善に。

六神丸(ろくしんがん)…発作が起こりそうな時の予防に。また毎日少量飲んで体質強化に。

狭心症・心筋梗塞の発作は冬だけでなくいつでも起こります。発作時は慌てずに安静を保つことが第一です。
2016-02-22 09:00:00

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