江本薬局
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vol.92「耳の病気・慢性中耳炎」


 耳の病気には外耳炎、中耳炎、メニエール氏病(内耳炎)、耳管狭窄症、難聴、耳鳴りなど色々ありますが、今回は急性・慢性中耳炎のお話です。
 私達の耳の奥は、のどや鼻の奥と(耳管で)つながっていますが、この鼻やのどの方から、風邪や鼻炎で細菌が入り込んで中耳に炎症を起こした状態が急性中耳炎です。原因菌は連鎖球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌などの化膿菌です。特に幼児に多いのは耳管がまだ未成熟で短く太いという事と、感染に対する抵抗力が弱いためです。熱や痛みは23日、鼓膜の腫れも10日ほどで治まるようですが、これで治ったわけではなくこの後、中耳の膿が完全に抜けるには約12ヶ月とみます。
 よく耳にする滲出性中耳炎とはこの急性中耳炎のピーク(約1週間)が過ぎて膿がだんだん抜けてゆく時期の呼び名です。ちょうどプールで耳に水が入った時のような感じだと言われます。

  この急性中耳炎が完治せず膿が残って長期化すると慢性中耳炎となります。慢性中耳炎には化膿性中耳炎と中耳に真珠に似た皮膚のかたまりができる真珠腫性中耳炎があり、共通の症状は耳だれ、耳鳴り、難聴です。耳だれは悪臭を伴うことが多く、さらに耳小骨の働きも悪くなるので難聴が起きますが耳の痛みはほとんどありません。また真珠腫性中耳炎は徐々に大きくなり骨を壊す性質があるため顔面神経麻痺やメニエール等の内耳炎、さらに頭蓋に進んで髄膜炎を起こすこともあるので厄介です。
  この慢性中耳炎から難聴、耳鳴り、頭痛等で人知れず悩んでいらっしゃる方が多くいます。ぜひ漢方薬を試してみて下さい。よい結果が得られるはずです。
  漢方薬ではやはり体全体の証(体質)をみて薬方を決めます。古血を去り、血行促進し体の内側から強くしてゆき、もともと備わっている自然治癒力を強めて病気を治してゆきます。
 
  それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
 
小柴胡湯・・・・急性期を過ぎた頃の慢性中耳炎で、もともとアレルギー体質の人に。
荊芥連翹湯・・・・慢性中耳炎でくさい膿汁が多く出る人に。
排膿散及湯・・・・膿汁排出が不十分だが、だらだらと続いて耳漏が止まらない時に。
柴胡清肝湯・・・・扁桃腺、アデノイド肥大があって、滲出性中耳炎を繰り返す人に。
 
 
 
どんな病気でも慢性化するとつらいものですが、特に目や耳は日常生活に煩わしさを感じますね。


 
2017-10-12 16:41:07

vol.91「飛蚊症」


 2年程前の早朝に紀三井寺公園を散歩し、すがすがしい青空を見上げていますと私の左目に急に黒い点と時折黒い帯状の線がサーっと流れました。目を動かしても追いかけてきます。私は「ふうむ、これが飛蚊症だな。」と直感しました。
 痛くも痒くもないのですが、左目の黒点が邪魔でしょうがありません。2~3日して友人の眼科医を訪ね診てもらうと、これは老化だから薬もなく治療法もない。我慢して慣れるしかないと言います。私は気落ちしながら病院を出ました
 今回はこの飛蚊症のお話しです。この飛蚊症の原因は水晶体の後ろの硝子体にあります。私達の目の中は空洞ではなく透明なゲル状の硝子体(しょうしたい)という物質で満たされています。この部分に濁りができたり、加齢とともに萎縮し一部網膜から剥がれるとその部分が網膜に映り黒い点や線のように見えてしまうのです。要注意なのは網膜剥離や網膜裂孔といった網膜自体の病気から起こる飛蚊症です。ある日突然ピカピカと視界が光って見えたり、時間とともに視界が狭まるという症状を伴います。
 さて治療法ですが、硝子体の濁っている部分を切除する手術もありますが、よほど重篤でない限りは行われません。ですからほとんどが自然治癒を待つしかありません。わたしは「薬も治療法はないよ」と言われて、これは自力で一日でも早く治そうと思い漢方薬を服用し、知り合いの鍼灸師に経絡針をお願いしました。いつも言うことですが漢方医学では病気は体全体を考えます。目は肝経に属します。
 肝は「血を蔵し、疏泄を主る。筋を主り、目に開竅する」機能があるので情緒の変動・自律神経の失調・循環障害・目の障害などの改善のために、色々な処方が伝えられてきました。目に現われてはいますが、そこにつながる肝からの血流を改善し、濁りや瘀血を去る、そして目に栄養を送り改善を目指します。
 それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
杞菊地黄丸・・・・目がかすむ、目がくらむ、まぶしい、目の乾燥感や痛み、視力減退、頭痛などがある人の飛蚊症に用います。
血府逐瘀湯・・・・慢性的に反腹する出血や、色素沈着、小血管の拡張など欝血、充血、血瘀体質の人の飛蚊症に。
八味地黄丸・・・・高齢者で疲れやすく、特に目には白内障、緑内障、硝子体混濁、調節衰弱、眼底出血(網膜出血)にも用いられます。
 
 
飛蚊症はいつも視界に見えるものだけに、鬱陶しくてノイローゼになってしまうケースもありますが、多くが無害なものです。
飛蚊症でお悩みなら一度、漢方薬を試してみて下さい。


 
2017-10-12 16:37:07

vol.90「尿漏れ」


  尿のことで悩んでおられる方は老若男女にかかわらず非常に多いのではないでしょうか?
  今回はこの尿漏れのお話しをします。
  子供では34才ぐらいから排尿の抑制ができるようになりますが、この時期を過ぎても尿失禁があるものを遺尿症、夜だけ起こるものを夜尿症といいます。大人になると、
◎腹圧性尿失禁…重い物を持ち上げたり、咳やくしゃみ、ジョギングや運動時に腹圧が上昇して漏らしてしまう。特に女性の4割を超える2000万人以上の人が悩まされていると言われています。
◎切迫性尿失禁…強い尿意切迫感とともに尿をこらえきれずに漏らしてしまう。また冷たい水で手を洗ったり、寒い所に出ると尿が漏れそうになったり。実際漏らしてしまう。特に原因はわかっていません。
 一般的に男性より女性の方が多いのですが、これは男性の尿道が1720cmと長く、2ヶ所で折れ曲がっているのに対して女性では34cmと短く、真っ直ぐになっています。また加齢に伴って排尿を調節する骨盤底の筋肉群が男性よりも弱くなるからだろうと言われています。
  5060才ぐらいになると、心当たりの人も多いのではないでしょうか?現代、治療法は膀胱括約筋を閉じさせるために肛門を締める骨盤底筋体操や、抗コリン薬の内服、ひどい時は手術になるようですが、決め手に欠ける場合が多いようです。
 さて漢方では、特に尿漏れは腎の働きの弱り、膀胱括約筋などの支筋のゆるみは脾胃(胃腸)の力不足(気虚)と考えます。また年齢による老人性膀胱萎縮、膀胱括約筋麻痺等は、腎陰陽両虚として腎の活力低下と考えます。ですので尿漏れにしても体全体を考えた漢方になります。この大・小二便の不調は人としては避けられない事で、昔から漢方薬には沢山の処方が残って現在に到っています。
 それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
 
補中益気湯・・・・元気なく疲れやすい体質で、胃アトニー、遊走腎、脱肛、子宮脱など、膀胱括約筋の緊張低下からの尿漏れ症に。
苓姜朮甘湯・・・・腰から下が冷えて、腰以下が重だるく、軽いむくみを伴う冷えからの尿漏れ症に。
八味地黄丸・・・・中年以後で下肢が冷え、排尿困難、残尿感、夜間尿、頻尿、むくみなどの人の尿漏れ症に。
 
 
尿失禁は生命に直接影響するわけではありませんが、生活の質を低下させてしまう病気です。
お困りでしたら恥ずかしがらずに治療しましょう。ぜひ漢方薬を試してみて下さい。


 
2017-10-12 16:33:07

vol.89「心の病気Ⅱ」


心の病気には統合失調症、うつ病、神経病、心身症他など多くの種類があります。
 統合失調症は思春期から20才代の人に多くみられ、現実と非現実の区別ができなくなり、声が聞こえる幻覚や妄想、意欲減退、感情鈍麻、自閉的などがあらわれてきます。一方、神経症(ノイローゼ)は統合失調症とは別の病気で、不安という症状であらわれます。戸締りを何度も確認しないと気が済まない強迫神経症や、不安にかられ動悸や冷や汗、呼吸困難、パニックといったような不安神経症、人の視線が気になる対人恐怖症、他には高所、閉所、暗所恐怖症などがあります。
 さて、心の病気で一番多いのが心身症です。これは神経症と違って心理的、精神的な要因が原因となって身に異常が起こる病気です。主な心身症として皮膚系にはアトピー性皮膚炎、多汗症、慢性蕁麻疹、円形脱毛症など、呼吸器系ではチック症、腰痛、筋肉痛、脊椎過敏症など、消化器系では胃・十二指腸潰瘍、慢性胃炎、過敏性腸炎など、摂食異常では神経性食欲不振症、過食症、です。この他にも月経障害、神経性頻尿、耳鳴り、緊張性頭痛などが知られています。
 残りは「うつ病」です。気が滅入って悲観的になり何もしたくなくなってしまう病気です。思春期と初老期に多く抑うつ気分、悲哀、寂寥感、不眠、自殺願望等が現われます。最近は幸せホルモンのセロトニン再吸収阻害薬(SSRI)が効果を上げているようです。
 さて現代では、皮膚病は皮膚科、お腹は胃腸科、風邪は内科という治療になりますが、案外、心の病気からの疾病も多いものです。2000年前の漢方の古書「黄帝内経素問」に「恬憺(てんたん)虚無ならば真気これに従い、精神内に守る、病安(いず)くんぞ従い来らんや..」とあります。これは「心がけは安らかで静かであるべきで、貪欲であったり妄想してはならない。そうすれば真気が調和し、精神もまた内を守って散じることはない。このようであればどうして病気になるであろうか。」と心がけと体の病気についての養生法をおしえています。“心と体は不可分”という考え方です。昔から漢方には心の病気には沢山の処方が用意されています。
 それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
柴胡加竜骨牡蛎湯・・・・イライラ、不眠、動悸、のぼせ、落ち着かないなどと訴える不安神経症、対人恐怖症、高所恐怖症、強迫神経症の人に。
他に半夏厚朴湯帰脾湯甘麦大棗湯酸棗仁湯黄連阿膠湯天王補心丹などがあります。
 
 
心の栄養が少ない社会になってきたんでしょうか?
体を温めてほっとしましょうね。

 
2017-10-12 16:29:07

vol.88「扁桃炎・咽頭炎」


寒くなりましたが今年もインフルエンザが流行しているようです。風邪には頭痛、発熱、悪寒、咳嗽などが伴いがちですが、今回はのどの痛み、扁桃炎のお話しです。
   口を開けると、のどの奥のほうの左右に赤い色をした扁桃が目にはいります。子供の頃はよりはっきり見えます。扁桃は外界から侵入するいろいろな菌やウイルスを捕まえて、その活動を免疫力によって抑えています。ところが風邪などがもとでこの扁桃に炎症が起きますと逆に菌などが繁殖しやすくなり左右どちらかの扁桃がより大きく腫れ、飲み込む時に痛みを感じます。この扁桃炎を起こすウイルスや菌は色々知られていますが、特に溶血性連鎖球菌に感染するとむくみや尿閉、血尿、タンパク尿などの急性糸球体腎炎、下肢の出血斑、腸炎や関節痛を起こすアレルギー性紫斑病、関節に炎症を起こしたり発熱するリウマチ熱を発症することもあります。よく「風邪からの溶連菌が原因で子供が…」と耳にします。扁桃炎から発症するのですね。
 急性扁桃炎の症状として、38℃以上の発熱、咽頭の痛み、倦怠感、関節痛の他、頚部リンパ節の腫れ、耳や側頭部の痛みなどを訴えます。また慢性化すると、扁桃が肥大化し、ひどくなると関節リウマチ、IgA腎症、掌蹠膿疱症などを発病します。現在の治療法は一般的にはVCや抗炎症薬、ステロイド剤などで、細菌が原因の時は抗生物質を使用しますが、最悪の時は手術によって扁桃摘出になります。
 さて、のどの痛み等は、一度はほぼ誰しもが経験していると思います。漢方では昔から咽痛、扁桃炎に使用されている処方が沢山考えられ用いられてきました。

それでは代表的な漢方薬をご紹介します。


桂枝二越婢一湯(けいしにえっぴいちとう)・・・・風邪の初期でのどが痛み始め唾が飲み込みにくく、口が渇く時。
甘草湯(かんぞうとう)・・・・のどの痛みが激しく発赤、腫張がある時に。薬の半分はゆっくりうがいし、残り半分を服用します。用途が広い。
黄柏煎(おうばくとう)・・・・毎朝夕、黄柏だけを煎じた汁でうがいをします。風邪をひかなくなり慢性扁桃炎もよくなります。
小建中湯(しょうけんちゅうとう)・・・・虚弱体質で元気なく顔色も悪くよく風邪をひく。慢性扁桃炎の子供の体質改善に。
 
 
民間療法としては、昔の人の特効薬として蛇脱皮(ヘビの抜け殻)を1020cm煎じて飲むとよいと伝えられてきましたが、きょうびヘビの抜け殻なんてどこを探しても...!
2017-07-14 13:00:07

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