江本薬局
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vol.95「目・黄斑部変性症」


  先日、知り合いの女性から「網膜静脈閉塞症で困ってるので、何かいい漢方薬ないでしょうか?」との問い合わせがありました。年齢とともに体に不調が多くなりますが、特に歯や目に関するお悩みが圧倒的です。
   今回は「糖尿病性網膜症」と並んで近年最も多い失明原因とされる「黄斑部変性症」についてのお話しです。最近よく耳にする病気ですね。自覚症状としては見ようとするものがゆがんだり、中心がぼやける、視界が狭くなる、さらに進行すると徐々に視力が低下してゆきます。この黄斑部変性症は50歳を過ぎた頃から見られ60~70代が最も多くなる眼の病気ですが、今まで何もなく視力もよかったのに突然発病する例が多いようです。一般的に男性の発症率は女性の約2倍と言われています。
   さて原因は、目の網膜の中心部にある直径2ミリ程の「黄斑」部が老化により機能低下するためです。これは眼球の「網膜」にある毛細血管の流れが悪くなると網膜細胞の酸素と栄養が不足し、新しい血管が生じます(血管新生)が、この若い血管の壁はとても薄くてすぐ破れて出血します。この出血が繰り返し網膜の中へと漏れ、浮腫を引き起こし視力が低下してゆきます。これが主な原因です。他には紫外線による活性酸素の影響も考えられます。治療法はレーザー光線、手術等ですがリスクも多く、これといった決定的な治療法はありません。病院治療をしながらも悪化進行するケースがほとんどです。
   さて漢方では目の病気とは言ってもその人の体全体の気血の流れの悪化とみて、体の血行を改善すると同時に首から上(目や耳や鼻)への毛細血管を強化し、よどんだ古い血(血瘀)や痰(溜った水分)をきれいにしてゆきます
 
それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
血府逐瘀湯・・・・慢性的に反復する出血(鼻出血、眼底出血、紫斑病等)、色素沈着、小血管の拡張、静脈の怒張、各腫瘤などの血瘀体質改善に。
越婢加朮湯・・・・利尿効果を利用して黄斑部の炎症、むくみを消失させる目的で用います。
芎帰調血飲第一加減・・・・出血後に残る滲出物や古い血を吸収、排泄する目的で用います。 
竜胆瀉肝湯・・・・亜急性期の眼球毛細血管からの出血の止血の目的で用います。
 
 
 アメリカ人の失明の第一の原因がこの黄斑部変性症ですが、最近は日本人に非常に多くの人が増えつつあるようです。何か食生活も関係しているようです。また現代はパソコン、スマホ時代。
眼を休ませてあげたいですね。
2018-02-15 15:06:02

vol.94「体臭と腋臭(わきが)」


  日本各地で梅雨入り宣言が出されました。これから夏に向けて汗ばむ季節です。今日は気になる「体臭と腋臭(わきが)」のお話です。
  私達の皮膚表面は皮膚に潤いを与える皮脂腺と汗を分泌するアポクリン腺(毛根の入り口近くに多く粘り気のある汗)とエクリン腺(体温調節や精神状態によって大量に分泌されるサラッとした汗)があります。この汗と皮脂が混ざり合って私達の皮膚を守る皮脂膜ができていますが、この皮脂膜には皮膚常在菌が住んでいます。
  皮脂や汗は分泌された時はほぼ無臭ですが、時間が経つとこの細菌に皮脂膜の脂質やタンパク質、アミノ酸、アンモニアなどが酸化・分解されて不快な臭いのガスを発生し、これが体臭や腋臭(わきが)となります。特に腋臭(わきが)は汗腺のうちのアポクリン腺から出る汗によります。わき毛は汗を留める役割があるため、そこに溜った汗に細菌が繁殖し、より強くにおいを発生するのです。   ちなみに、欧米の70100%に対して日本人は10人に1人が腋臭体質と言われてきました。しかし近年、野菜や魚中心から肉類や高脂肪、高カロリーの食生活が増えるにつれ、日本人の腋臭体質も強くなっていると言われています。
  一般的にはわき毛に白い粉状のものがついている場合にはほぼ間違いなく腋臭体質といえます。これはアポクリン腺からの分泌液が結晶化したものです。現在の治療法は軽度なら塩化アンモニウムや臭化プロバンテリンなどの制汗剤、中度ならレーザー脱毛、重度なら手術となります。
  さて、この体臭、口臭、わきがには昔からとっておきの民間薬、クマ笹の搾り汁があります。笹汁は抗菌作用が強く、昔は旅人のおにぎりの包みに用いられ食べ物が腐りにくいように工夫されていました。また臭いの成分を吸着してくれるので、口臭や体臭にも用いられてきました。漢方では体臭やわきがは痰瘀と考え、血液や体液をきれいにして体質改善を目指します。
 
  それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
防己黄耆湯・・・・疲れやすく汗のかきやすい人で、肥満(水太り)、むくみ、多汗症体質の人に。
大柴胡湯・・・・体力がある人で常習便秘、高血圧気味で肩こり、頭痛、便秘、肥満(脂肪太り)タイプの人に。
防風通聖散・・・・腹部に皮下脂肪が多く便秘がちで、副鼻腔炎や吹き出物、皮膚炎体質の人に。
 
 
「わきがは俺に任せろ!!」なんて広告している病院もよく目にします。命に別状はなくても体臭、わきがで悩んでいる方は多いですね。
 
2018-02-15 15:00:00

vol.93「無月経」


 少子高齢化がさけばれて久しくなりますが、最近は結婚年齢が遅くなり赤ちゃんが欲しくてもなかなか妊娠できないカップルも多いようです。 「無月経」もその大きな要因です。今回はこの「無月経」についてお話しします。
   生まれてから一度も月経がないことを原発性無月経といい、一度は来たものの後、3ヶ月以上停止している状態を続発性無月経と呼びます。
   一般的に無月経と言えば、この続発性無月経のことです。器質的には女性ホルモンの関係する視床下部や脳下垂体、卵巣、子宮などの働きが低下して発症するのですが、その原因として考えられるのは摂食障害やダイエットなどでの急激な体重減少(体脂肪率18%以下)、子宮内膜症(子宮内癒着)、長引くストレス、多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、シーハン症候群(出産時の大量出血の後遺症)などがほとんどです。
   婦人科での治療は月経を起こす女性ホルモン製剤、妊娠の成立を目指す排卵誘発剤、プロラクチン降下剤などが基本ですが、体重調節、手術なども必要に応じて行われます。しかし妊娠の成立が極めて難しい、又は不可能な場合も多いようです。この外部からのホルモン補充治療法でなかなか結果が出ない時はぜひ漢方薬を試してみて下さい。
   私達の体のあらゆる所に気血(栄養分)の運行のために「経絡」という通路が張りめぐらされていて(十二正経・八奇経)、特に子宮には腎からの任脈・督脈、肝からの衝脈が直接連結され、非常に深い関係にあります。冷え、瘀血、ストレス性気欝、貧血、水毒(肥満)などがこの経絡の流れを妨げる大きな要因となっている場合が多いので、それぞれを改善してゆきます。またホルモンは腎でつくられていますので、補腎して腎の働きを強化します。生理不順や無月経症などの「血の道」症には漢方薬はとてもよく効きます。
  それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
・温経湯・・・・下腹部や腰の冷えと疼痛、しびれなどで、月経の遅延あるいは過早、月経過多あるいは過少、不正性器出血、あるいは無月経、不妊症など。
・桂枝茯苓丸・・・・冷えのぼせ、肩こり、頭痛などを伴い、月経不順、月経痛、月経異常を訴える瘀血体質改善に。
当帰芍薬散・・・・体力虚弱で貧血のめまい、肩こり、頭痛、耳鳴りなどの血の道症を訴える人の月経不順、月経痛、無月経に。
・鹿茸大補湯・・・・代表的な補腎薬です。体が冷えていつも寒がり体力がなく慢性的な疲労感、低体温症などに。
 
「血の道」症は昔も今も女性にとっては悩みの種ですね。         

 
2017-10-12 16:48:07

vol.92「耳の病気・慢性中耳炎」


 耳の病気には外耳炎、中耳炎、メニエール氏病(内耳炎)、耳管狭窄症、難聴、耳鳴りなど色々ありますが、今回は急性・慢性中耳炎のお話です。
 私達の耳の奥は、のどや鼻の奥と(耳管で)つながっていますが、この鼻やのどの方から、風邪や鼻炎で細菌が入り込んで中耳に炎症を起こした状態が急性中耳炎です。原因菌は連鎖球菌、ブドウ球菌、インフルエンザ菌などの化膿菌です。特に幼児に多いのは耳管がまだ未成熟で短く太いという事と、感染に対する抵抗力が弱いためです。熱や痛みは23日、鼓膜の腫れも10日ほどで治まるようですが、これで治ったわけではなくこの後、中耳の膿が完全に抜けるには約12ヶ月とみます。
 よく耳にする滲出性中耳炎とはこの急性中耳炎のピーク(約1週間)が過ぎて膿がだんだん抜けてゆく時期の呼び名です。ちょうどプールで耳に水が入った時のような感じだと言われます。

  この急性中耳炎が完治せず膿が残って長期化すると慢性中耳炎となります。慢性中耳炎には化膿性中耳炎と中耳に真珠に似た皮膚のかたまりができる真珠腫性中耳炎があり、共通の症状は耳だれ、耳鳴り、難聴です。耳だれは悪臭を伴うことが多く、さらに耳小骨の働きも悪くなるので難聴が起きますが耳の痛みはほとんどありません。また真珠腫性中耳炎は徐々に大きくなり骨を壊す性質があるため顔面神経麻痺やメニエール等の内耳炎、さらに頭蓋に進んで髄膜炎を起こすこともあるので厄介です。
  この慢性中耳炎から難聴、耳鳴り、頭痛等で人知れず悩んでいらっしゃる方が多くいます。ぜひ漢方薬を試してみて下さい。よい結果が得られるはずです。
  漢方薬ではやはり体全体の証(体質)をみて薬方を決めます。古血を去り、血行促進し体の内側から強くしてゆき、もともと備わっている自然治癒力を強めて病気を治してゆきます。
 
  それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
 
小柴胡湯・・・・急性期を過ぎた頃の慢性中耳炎で、もともとアレルギー体質の人に。
荊芥連翹湯・・・・慢性中耳炎でくさい膿汁が多く出る人に。
排膿散及湯・・・・膿汁排出が不十分だが、だらだらと続いて耳漏が止まらない時に。
柴胡清肝湯・・・・扁桃腺、アデノイド肥大があって、滲出性中耳炎を繰り返す人に。
 
 
 
どんな病気でも慢性化するとつらいものですが、特に目や耳は日常生活に煩わしさを感じますね。


 
2017-10-12 16:41:07

vol.91「飛蚊症」


 2年程前の早朝に紀三井寺公園を散歩し、すがすがしい青空を見上げていますと私の左目に急に黒い点と時折黒い帯状の線がサーっと流れました。目を動かしても追いかけてきます。私は「ふうむ、これが飛蚊症だな。」と直感しました。
 痛くも痒くもないのですが、左目の黒点が邪魔でしょうがありません。2~3日して友人の眼科医を訪ね診てもらうと、これは老化だから薬もなく治療法もない。我慢して慣れるしかないと言います。私は気落ちしながら病院を出ました
 今回はこの飛蚊症のお話しです。この飛蚊症の原因は水晶体の後ろの硝子体にあります。私達の目の中は空洞ではなく透明なゲル状の硝子体(しょうしたい)という物質で満たされています。この部分に濁りができたり、加齢とともに萎縮し一部網膜から剥がれるとその部分が網膜に映り黒い点や線のように見えてしまうのです。要注意なのは網膜剥離や網膜裂孔といった網膜自体の病気から起こる飛蚊症です。ある日突然ピカピカと視界が光って見えたり、時間とともに視界が狭まるという症状を伴います。
 さて治療法ですが、硝子体の濁っている部分を切除する手術もありますが、よほど重篤でない限りは行われません。ですからほとんどが自然治癒を待つしかありません。わたしは「薬も治療法はないよ」と言われて、これは自力で一日でも早く治そうと思い漢方薬を服用し、知り合いの鍼灸師に経絡針をお願いしました。いつも言うことですが漢方医学では病気は体全体を考えます。目は肝経に属します。
 肝は「血を蔵し、疏泄を主る。筋を主り、目に開竅する」機能があるので情緒の変動・自律神経の失調・循環障害・目の障害などの改善のために、色々な処方が伝えられてきました。目に現われてはいますが、そこにつながる肝からの血流を改善し、濁りや瘀血を去る、そして目に栄養を送り改善を目指します。
 それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
杞菊地黄丸・・・・目がかすむ、目がくらむ、まぶしい、目の乾燥感や痛み、視力減退、頭痛などがある人の飛蚊症に用います。
血府逐瘀湯・・・・慢性的に反腹する出血や、色素沈着、小血管の拡張など欝血、充血、血瘀体質の人の飛蚊症に。
八味地黄丸・・・・高齢者で疲れやすく、特に目には白内障、緑内障、硝子体混濁、調節衰弱、眼底出血(網膜出血)にも用いられます。
 
 
飛蚊症はいつも視界に見えるものだけに、鬱陶しくてノイローゼになってしまうケースもありますが、多くが無害なものです。
飛蚊症でお悩みなら一度、漢方薬を試してみて下さい。


 
2017-10-12 16:37:07

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