江本薬局
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vol.99「風邪の後の咳」


Q67歳女性。風邪がなかなか治りません。一週間ほど前からで、引き始めは葛根湯を飲んでいたのですが治りきらず、今は咳が続いています。もともと喉が弱く風邪をひくとより喉が痛くなります。日中も咳が出ますが、特に夜中の咳が酷く病院でもらった咳止め薬でも止まらなく困っています。何か良い漢方薬はありますでしょうか。 
 
 
A.風邪の後に、症状は治ったけれど咳がとれませんとよくききます。病院や薬局での気管支拡張剤や消炎剤、痰切り等で良くなる方も多いのですが、中にはなかなか良くならず一ヶ月以上も咳が続く人もいます。特に夜中に咳込んだり、誰かとお話し中に喉がチクチクとはしかくなり、こみ上げてくる感じで、つい咳込んでしまいます。割と年配の方によくみられます。
   咳は気管支や肺の異常が咳中枢神経を刺激して起こりますが、風邪と共に起こる咳には麻黄湯、参蘇飲、小青竜湯、駆風解毒湯、桑菊飲などがよく用いられます。しかし風邪の初期症状が治まっても咳だけ残る場合も多く、痰が出ると止まる咳には二陳湯、痰が粘稠で切れにくく、鼻やのどの乾燥感、しわがれた声、空咳には麦門冬湯や清燥救肺湯を使用します。また口が渇き汗が出るくらいに咳込み、黄色い痰が出るような時には五虎湯がよく効きます。一般的には風邪の後の咳にはこの五虎湯や麦門冬湯がよく使われています。
   使い古された言葉ですが「風邪は万病のもと」とよく言われます。特に高齢者は風邪をこじらせて肺炎や腸炎などを起こしやすくなります。血痰や微熱が続く黄色濃性痰の時には専門医を受診しましょう。さて風邪の予防としては体を冷やさないこと、外出から帰った後のうがい、少しおかしいと思ったら早めの睡眠などを心掛けましょう。どんな病気にも養生が大切です。
2018-03-20 13:41:24

vol.96「夜間尿」


  Q78女性
 今年になって夜中に度々トイレに行くようになりました。ひどい時には2回、3回も行きます。おかげで睡眠不足から、朝起きても疲れが残っている感じです。また以前は暑がりでしたが最近は足腰も冷えて、腰痛にも悩まされるようになりました。自分のまわりの友人たちからも同じようなことをよく耳にします。年のせいかと諦めていますが、少しでもこの辛い症状を改善してくれるようなものはありませんか?
 
 
  A.夜中の度々のトイレは毎日の事ですから辛いものですね。年齢とともにほとんどの人が頻尿や尿漏れ、夜間尿で悩まされるようになります。一般的に60歳を過ぎる頃から萎縮腎や膀胱萎縮が始まり、毎年若い頃に比べ1%ずつぐらい働きが低下してゆきます。
  また膀胱括約筋を引き締めるバソプレッシンというホルモンも分泌量が減り、少しの刺激で尿意をもよおしてしまいます。
  漢方ではこれらの症状を腎虚の証と考えます。腎虚の症状は尿の不調以外にもめまい、耳鳴り、脱毛、歯の動揺、健忘、動作緩慢、腰や膝がだるく力がない、なども伴うようになります。
  さらに進み腎陽虚になりますと、温煦作用(体を温める働き)が低下し気力がない、いつも眠い、寒がる、腰や腹、手足が冷える、頻尿、尿量過多、夜間多尿などもみられるようになります。
  今回のご相談では78歳で夜間多尿、下肢冷え、腰痛ですね。補腎剤の八味地黄丸や牛車腎気丸、右帰丸、鹿茸大補湯などがいいでしょう。また肛門括約筋や膀胱括約筋を引き締める補中益気湯や黄耆建中湯を併用するとより効果があります。泌尿器科や漢方薬の専門の先生に相談してみて下さい。
老化は誰にも避けられないものですが、少しでも健やかに過ごしてゆきたいものですね。
 
2018-02-15 15:34:24

vol.95「目・黄斑部変性症」


  先日、知り合いの女性から「網膜静脈閉塞症で困ってるので、何かいい漢方薬ないでしょうか?」との問い合わせがありました。年齢とともに体に不調が多くなりますが、特に歯や目に関するお悩みが圧倒的です。
   今回は「糖尿病性網膜症」と並んで近年最も多い失明原因とされる「黄斑部変性症」についてのお話しです。最近よく耳にする病気ですね。自覚症状としては見ようとするものがゆがんだり、中心がぼやける、視界が狭くなる、さらに進行すると徐々に視力が低下してゆきます。この黄斑部変性症は50歳を過ぎた頃から見られ60~70代が最も多くなる眼の病気ですが、今まで何もなく視力もよかったのに突然発病する例が多いようです。一般的に男性の発症率は女性の約2倍と言われています。
   さて原因は、目の網膜の中心部にある直径2ミリ程の「黄斑」部が老化により機能低下するためです。これは眼球の「網膜」にある毛細血管の流れが悪くなると網膜細胞の酸素と栄養が不足し、新しい血管が生じます(血管新生)が、この若い血管の壁はとても薄くてすぐ破れて出血します。この出血が繰り返し網膜の中へと漏れ、浮腫を引き起こし視力が低下してゆきます。これが主な原因です。他には紫外線による活性酸素の影響も考えられます。治療法はレーザー光線、手術等ですがリスクも多く、これといった決定的な治療法はありません。病院治療をしながらも悪化進行するケースがほとんどです。
   さて漢方では目の病気とは言ってもその人の体全体の気血の流れの悪化とみて、体の血行を改善すると同時に首から上(目や耳や鼻)への毛細血管を強化し、よどんだ古い血(血瘀)や痰(溜った水分)をきれいにしてゆきます
 
それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
血府逐瘀湯・・・・慢性的に反復する出血(鼻出血、眼底出血、紫斑病等)、色素沈着、小血管の拡張、静脈の怒張、各腫瘤などの血瘀体質改善に。
越婢加朮湯・・・・利尿効果を利用して黄斑部の炎症、むくみを消失させる目的で用います。
芎帰調血飲第一加減・・・・出血後に残る滲出物や古い血を吸収、排泄する目的で用います。 
竜胆瀉肝湯・・・・亜急性期の眼球毛細血管からの出血の止血の目的で用います。
 
 
 アメリカ人の失明の第一の原因がこの黄斑部変性症ですが、最近は日本人に非常に多くの人が増えつつあるようです。何か食生活も関係しているようです。また現代はパソコン、スマホ時代。
眼を休ませてあげたいですね。
2018-02-15 15:06:02

vol.94「体臭と腋臭(わきが)」


  日本各地で梅雨入り宣言が出されました。これから夏に向けて汗ばむ季節です。今日は気になる「体臭と腋臭(わきが)」のお話です。
  私達の皮膚表面は皮膚に潤いを与える皮脂腺と汗を分泌するアポクリン腺(毛根の入り口近くに多く粘り気のある汗)とエクリン腺(体温調節や精神状態によって大量に分泌されるサラッとした汗)があります。この汗と皮脂が混ざり合って私達の皮膚を守る皮脂膜ができていますが、この皮脂膜には皮膚常在菌が住んでいます。
  皮脂や汗は分泌された時はほぼ無臭ですが、時間が経つとこの細菌に皮脂膜の脂質やタンパク質、アミノ酸、アンモニアなどが酸化・分解されて不快な臭いのガスを発生し、これが体臭や腋臭(わきが)となります。特に腋臭(わきが)は汗腺のうちのアポクリン腺から出る汗によります。わき毛は汗を留める役割があるため、そこに溜った汗に細菌が繁殖し、より強くにおいを発生するのです。   ちなみに、欧米の70100%に対して日本人は10人に1人が腋臭体質と言われてきました。しかし近年、野菜や魚中心から肉類や高脂肪、高カロリーの食生活が増えるにつれ、日本人の腋臭体質も強くなっていると言われています。
  一般的にはわき毛に白い粉状のものがついている場合にはほぼ間違いなく腋臭体質といえます。これはアポクリン腺からの分泌液が結晶化したものです。現在の治療法は軽度なら塩化アンモニウムや臭化プロバンテリンなどの制汗剤、中度ならレーザー脱毛、重度なら手術となります。
  さて、この体臭、口臭、わきがには昔からとっておきの民間薬、クマ笹の搾り汁があります。笹汁は抗菌作用が強く、昔は旅人のおにぎりの包みに用いられ食べ物が腐りにくいように工夫されていました。また臭いの成分を吸着してくれるので、口臭や体臭にも用いられてきました。漢方では体臭やわきがは痰瘀と考え、血液や体液をきれいにして体質改善を目指します。
 
  それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
防己黄耆湯・・・・疲れやすく汗のかきやすい人で、肥満(水太り)、むくみ、多汗症体質の人に。
大柴胡湯・・・・体力がある人で常習便秘、高血圧気味で肩こり、頭痛、便秘、肥満(脂肪太り)タイプの人に。
防風通聖散・・・・腹部に皮下脂肪が多く便秘がちで、副鼻腔炎や吹き出物、皮膚炎体質の人に。
 
 
「わきがは俺に任せろ!!」なんて広告している病院もよく目にします。命に別状はなくても体臭、わきがで悩んでいる方は多いですね。
 
2018-02-15 15:00:00

vol.93「無月経」


 少子高齢化がさけばれて久しくなりますが、最近は結婚年齢が遅くなり赤ちゃんが欲しくてもなかなか妊娠できないカップルも多いようです。 「無月経」もその大きな要因です。今回はこの「無月経」についてお話しします。
   生まれてから一度も月経がないことを原発性無月経といい、一度は来たものの後、3ヶ月以上停止している状態を続発性無月経と呼びます。
   一般的に無月経と言えば、この続発性無月経のことです。器質的には女性ホルモンの関係する視床下部や脳下垂体、卵巣、子宮などの働きが低下して発症するのですが、その原因として考えられるのは摂食障害やダイエットなどでの急激な体重減少(体脂肪率18%以下)、子宮内膜症(子宮内癒着)、長引くストレス、多嚢胞性卵巣症候群、高プロラクチン血症、シーハン症候群(出産時の大量出血の後遺症)などがほとんどです。
   婦人科での治療は月経を起こす女性ホルモン製剤、妊娠の成立を目指す排卵誘発剤、プロラクチン降下剤などが基本ですが、体重調節、手術なども必要に応じて行われます。しかし妊娠の成立が極めて難しい、又は不可能な場合も多いようです。この外部からのホルモン補充治療法でなかなか結果が出ない時はぜひ漢方薬を試してみて下さい。
   私達の体のあらゆる所に気血(栄養分)の運行のために「経絡」という通路が張りめぐらされていて(十二正経・八奇経)、特に子宮には腎からの任脈・督脈、肝からの衝脈が直接連結され、非常に深い関係にあります。冷え、瘀血、ストレス性気欝、貧血、水毒(肥満)などがこの経絡の流れを妨げる大きな要因となっている場合が多いので、それぞれを改善してゆきます。またホルモンは腎でつくられていますので、補腎して腎の働きを強化します。生理不順や無月経症などの「血の道」症には漢方薬はとてもよく効きます。
  それでは代表的な漢方薬をご紹介します。
 
・温経湯・・・・下腹部や腰の冷えと疼痛、しびれなどで、月経の遅延あるいは過早、月経過多あるいは過少、不正性器出血、あるいは無月経、不妊症など。
・桂枝茯苓丸・・・・冷えのぼせ、肩こり、頭痛などを伴い、月経不順、月経痛、月経異常を訴える瘀血体質改善に。
当帰芍薬散・・・・体力虚弱で貧血のめまい、肩こり、頭痛、耳鳴りなどの血の道症を訴える人の月経不順、月経痛、無月経に。
・鹿茸大補湯・・・・代表的な補腎薬です。体が冷えていつも寒がり体力がなく慢性的な疲労感、低体温症などに。
 
「血の道」症は昔も今も女性にとっては悩みの種ですね。         

 
2017-10-12 16:48:07

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