江本薬局
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Vol.52「潰瘍性大腸炎」


きょうは潰瘍性大腸炎のお話です。

この潰瘍性大腸炎は、法定難病に指定され、現代医学的な治療が行き詰まっている病気の一つです。欧米人にもともと多いのですが、最近では20歳~30歳代を中心に日本人にも増えています。

大腸粘膜に多数の小さな潰瘍ができ、突然、腹痛、下痢が始まります。原因はよく分かっていませんが、自己免疫疾患の一つだろうと考えられています。

最初は直腸から始まり、S字状結腸、下行結腸、横行結腸、上行結腸へと広がり、それに伴って重症になり合併症の危険も大きくなります。主な症状は下痢、腹痛、腹鳴りですが、血液や粘液、うみなどが交じり、一日数回から、時に10回以上もトイレに通うようになります。

毎年、症状が軽くなったり悪くなったりを繰り返しながら進行し、重病になると、発熱、倦怠(けんたい)感、体重減少、貧血などが見られるようになります。

現在の治療法は、サルファ剤やステロイド剤の内服が中心ですが、完治は難しく、再発することの多い厄介な病気です。食事面では日頃から繊維質の多いものや生野菜、コーヒー、カレー、アルコールなど、大腸を刺激する食品を控えるようにします。

さて、東洋医学は常に体全体の気血の流れを考えて薬方を決めます。一般的に、潰瘍性大腸炎を起こす人は、性格が真面目で、几帳面、神経質な人が多いようです。また精神的なストレスで、より症状が悪化することから、もともと胃腸虚弱の人に自律神経過敏が続き、発病すると考えて疏肝健脾(神経を和らげて腸を整えること)を中心に漢方薬を選びます。大方の人は2~3カ月ほどで症状が安定し、再発も少ないようです。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

四逆散(しぎゃくさん)…神経過敏体質な人で精神的なストレスによって、より症状が悪化するような人の体質改善に。

補中益気湯(ほちゅうえっきとう)…体力がなく疲れやすい人で、もともと胃腸の免疫力が低い慢性的な大腸炎の体質改善に。

人参湯(にんじんとう)…下痢と発熱が続くときに効果があり、長期に服用して再発予防に。最もよく用いられます。

弓帰膠艾湯(きゅうききょうがいとう)…粘血便に対応して人参湯などと併用します。

胃風湯(いふうとう)…体力がなくピチピチと音が出るような下痢が続くような人に。

潰瘍性大腸炎は原因不明の難病ですが、ストレス社会も一つの原因ではないかと考えています。ぜひ漢方薬を試してみてください。
2015-03-30 00:00:00

Vol.51「逆流性食道炎」


さて、今月は食道のお話です。食道の内腔は親指ほどの太さですが、この食道粘膜や胃粘膜にびらんや炎症が起こると、胸やけや、飲み込むときの痛み、つかえ、つまった感じなどの症状が出てきます。

これが食道炎で、原因としては日頃から熱いものや暴飲暴食、アルコールの飲み過ぎ、ストレスからの胃酸分泌過多などが多いようです。よく耳にするのは、胃液や十二指腸液が逆流して起こる逆流性食道炎です。前かがみになったり横になったりすると胸やけや胃痛がよりひどくなります。

病院では「胃の入り口(噴門部)がゆるんでいるから」と言われますが、幽門部の通過障害もあります。

治療法は、制酸剤や粘膜保護剤が有効なこともありますが、決め手にならないようです。また、これとは反対の食道アカラシア(噴門痙れん症)という病気があります。胃の入り口の噴門は、普段は閉じていますが、食べ物を飲み込むと反射的に開きます。この動きに異常が起こった状態です。

原因は自律神経の失調と考えられていますが、はっきり分かっていません。症状は食道や胸のつかえ、固形物より液体の方が通りにくい、吐き気、嘔吐(おうと)などです。

これらは食道がんの症状に似ていますが、食道がんは50歳以上の人に多く、食道アカラシアは20代~30代の人に多く見られます。

また、日によっては全く症状が出ないこともありますが、ストレスや体調の悪い時などに再び繰り返し慢性化する傾向があります。治療法は、流動食や内服薬、バルーン療法などの対症療法になります。

さて、漢方では慢性的な消化管(噴門部・幽門部)のジスキネジー(通過機能障害)を肝気(自律神経)の乱れととらえて柴胡、厚朴、枳実(カラタチの実)などを用いて、ぜん動をスムーズに改善していきます。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

半夏厚朴湯(はんげこうぼくとう)…胃壁や噴門部の痙れんを和らげます。神経性胃炎や妊娠嘔吐(つわり)などに。

加味逍遙散(かみしょうようさん)…イライラや、ゆううつ感、胸脇部張痛などの自律神経症を伴う神経性の胃・食道炎に。

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)…特にみぞおちのつかえ(心下痞)が強い食道アカラシアに用います。

茯苓飲(ぶくりょういん)…噴門部・幽門部の痙れんをゆるめ、ぜん動を調節して逆流を防ぎます。逆流性食道炎、食道アカラシアの代表的な漢方薬です。

ストレスは消化管によくないですね。
2015-03-23 00:00:00

Vol.50「骨粗鬆症」


「病院で骨密度が少ないと言われて…」と相談にお見えになる方がよくいらっしゃいます。今回は、この骨のお話です。

骨に鬆(す)が入ったようになる老化現象の一つが骨粗鬆症で、特に女性に多く閉経後の女性ホルモンの減少で急速に起こるようになります。若い女性でも卵巣を摘出すると、数年後には同じような症状が起こると言われていますが、男性の場合は遅くて80歳くらいからです。

骨は軟らかいカルシウムと固いタンパク質からできていて、新陳代謝も活発で、1年間で全体の20~30%が新しくなります。厚生省のカルシウム摂取基準は一日600ミリグラムですが、治療や予防には一日800~1000ミリグラム必要です。

骨粗鬆症が起こりやすい場所は背骨で、腰痛や背痛、腰が曲がってくる、などが見られ、進行すると骨がもろくなります。転んだり、時には、咳やくしゃみをしただけで骨折してしまうこともあり、結果、寝たきりになってしまう人もいます。

治療と予防は何と言ってもカルシウムの摂取と運動です。運動による刺激と、日光を浴びることでカルシウムの吸収、蓄積を高めます。以前は減った骨質は増えないと言われていましたが、今では食事療法や薬物療法で増えることが分かっています。

さて、漢方では「腎は骨を主り、髄を生ず」「成長発育を主る」と教えています。ですから、骨粗鬆症や骨軟化症(くる病)、小児や乳幼児の筋肉や骨格の発達不良などに補腎薬の六味丸や鹿茸(シカの角)などをよく使います。また、ステロイド剤の副作用による骨多孔症にも用いて骨の再生、成長を促します。漢方薬はどんな場合でも体の中から治していきます。それでは、代表的な漢方薬をご紹介しましょう。

八味地黄丸(はちみじおうがん)…腰痛、坐骨神経痛、奇形性背椎症、椎間軟骨ヘルニアなど、特に高齢者の骨の老化に。

六味地黄丸(ろくみじおうがん)…小児や乳幼児の首が坐らない、歯が生えるのが遅い、歩き始めるのが遅い、身長が伸びないなどの発育不良にも用います。

附子人参湯(ぶしにんじんとう)…冷え性でやせていて、胃腸が弱く栄養吸収(タンパク同化)の悪い人に。

鹿茸大補湯(ろくじょうだいほとう)…腎気が衰え、体の力、回復力、免疫力が弱く、特に下半身に力が入らないような人に。補腎薬の代表です。

骨の丈夫な人は、歯もいい人が多く、相対的に健康的ですね。昔から子どもの成長にカルシウム食品をよく食べさせましたが、高齢化社会を向かえて中高年も積極的にカルシウムをとりたいものです。
2015-03-16 00:00:00

Vol.49「胆石」


今回は「胆石」のお話をします。

「死ぬほど痛い!!」とよく聞きますが、右の助骨の下あたりに突然激しい痛みが起こり、ひどい時には、発熱や黄疸(おうだん)も現れます。脂肪分の多い食事や、食べ過ぎの後によく起こるようです。もともと昔の日本では少ない病気でしたが、食生活の欧米化に伴って増加し、最近ではよく見掛けるようになりました。

さて、胆石はその成分によって二分されています。胆汁中のビリルビンが固まると黒っぽいビリルビン胆石となり、肝臓や胆管に多くたまります。ちなみに、直径1㌢以上の大きな胆石やビリルビン胆石は、あまり痛みがありません。胆汁中のコレステロールが固まると、白っぽいコレステロール胆石となり、胆のうにたまります。これがよく動くので時に激しい痛みを発症させます。

この胆石発作痛の時は、何よりも安静が第一です。軽い場合は、1~2時間で治まりますが、痛みが取れない時は、ブスコパン等の鎮痛剤を用います。手術一辺倒だった昔と違い、近年は内視鏡、溶解療法、衝撃波破砕療法など、切らずに治す方法が中心となってきました。また、超音波検査で経過を観察していく保存療法も多くとられています。漢方では、体液が固まったものを「痰・」といいますが、胆石もそのうちの一つです。胆汁中に含まれるコレステロールなどが固まって胆石になるからです。

治法は疎肝、活血化となり、やはり気血水の流れをよくして、体質を改善していきます。漢方薬を用いると痛みの発作回数がだんだんと少なくなり、やがては起こらなくなります。石の大きさや人によって違いますが、数カ月で消えてしまう場合もあります。それでは代表的な漢方薬をご紹介します。

大柴胡湯(だいさいことう)…最もよく用いられる処方で、体力のある人の急性・慢性胆石症に。

芍薬甘草湯(しゃくやくかんぞうとう)…胆管や下腹部筋のけいれんを緩めることで発作時の痛みを和らげます。

黄連解毒湯(おうれんげどくとう)…発作時に発熱し、強い炎症を伴う時に他薬と併用します。

茵蒿湯(いんちんこうとう)…黄疸がある時に。

良枳湯(りょうきとう)…症状が安定している時の俳石の目的で用います。民間薬としては連銭草(カキドオシ)が有名です。尿路結石や歯石を取る働きもあります。

胆石症の人は普段からコレステロール値が高くなりやすい動物性脂肪の食品は控えるように心掛けましょうね。
2015-03-09 00:00:00

Vol.48「腸炎と下痢」


誰でも一度や二度、軟便や下痢を経験したことがあるでしょう。私たちの腸は約7~9㍍ほどありますが、文句も言わずに、せっせと栄養分を吸収し、老廃物や毒素を排せつしてくれます。思わず、「ありがとう」って言いたくなりますよね。それほどよく働くので新陳代謝が早く、2~3日で腸内膜が全部入れ替わってしまいます。ちなみに腸を広げると、テニスコート2面分くらいあるそうです。

この腸炎を引き起こす原因は、暴飲暴食や寝冷え、大腸菌やブドウ球菌の感染など、さまざまですが、最近は過敏性腸炎や潰瘍性大腸炎などの神経性の腸炎が多くなってきています。ストレスが腸の血行を悪くし、慢性的な下痢を引き起こすのです。

さて、急性腸炎の症状は、鈍いまたは激しい痛み、ゴロゴロ鳴る、腹重感などですが、しぶり腹から一日20回以上も下痢を起こすこともあります。栄養分や水分が吸収されないので口が渇いたり、痩せたり、脱力感などを伴います。まずは安静と食事療法で一日くらいは絶食して、湯ざましや、うすい番茶などで水分を補給します。また、できるだけ強い作用の下痢止めは使わず、自然な回復を待って整腸剤などを用います。

高熱、血便、激しい腹痛を伴う時は、病院で診察を受けましょう。慢性症状の場合は、下腹部の鈍痛ですが、下痢も軟便程度で主に大腸に起こります。

この他、最近特に多いのが、ストレス性の腸炎で、何ら器質的に異常がない過敏性結腸炎、大腸の粘膜に多数の小さな潰瘍ができる潰瘍性大腸炎などです。

いずれにしても腸炎、下痢の治療は食事療法が大切で、日頃から消化のよい物をとり、生ものやコーヒー、アルコールなどの刺激の強いものは控えるようにしましょう。

漢方ではこの腸炎と下痢によく効くお薬がたくさんあります。それではいくつかご紹介します。

真武湯(しんぶとう)…むくみやすく冷え性で体力のない人の慢性的な下痢に。

理中湯(りちゅうとう)…日ごろから胃腸虚弱で、顔色が悪く疲れやすい人の腹痛を伴う下痢に。

半夏瀉心湯(はんげしゃしんとう)…お腹がゴロゴロ鳴ったり、吐き気をよくもよおす下痢に。ストレスからよく発症します。

葛根黄連黄湯(かっこんおうれんおうごんとう)…風邪や食中毒などからの急性の腸炎で、悪感や発熱を伴うような下痢に。

六君子湯(りっくんしとう)…胃下垂気味で、舌には薄い白苔がつき、食べ過ぎるとすぐ下痢になる人に。

子どもの頃「お腹を冷やしたら、あかんよ」と親によく言われました(いまだに言われていますが…)。胃腸虚弱は万病の元です。昔の人の腹巻きは生活の知恵なんですね。
2015-03-02 00:00:00

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